byプロテンMZ編集部
広告・IT/Web業界で活躍する戦略思考を鍛えよう
広告・IT/Web業界で活躍するためには欠かせない、発想力。それは、企業の課題を解決するための戦略的な思考につながります。
そこで今回は、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)の著書、経営コンサルタントの鈴木貴博氏に「戦略思考」の鍛え方についてうかがいました。“ひらめきや直感”を司る右脳、“論理的思考”を司る左脳をそれぞれ鍛えます。さあ、クイズに答えながら、一緒にトレーニングしましょう!
今回お話をうかがったのは
鈴木貴博氏
事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年に亘り活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、2003年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。
目次
右脳編
とにかくたくさんの情報に触れる、それが戦略思考につながります。
「まずはたくさんの情報に触れることです。打席に立たなければバットにボールを当てることができないのと同じこと。
そして、そのたくさんの情報の中から“使えるもの”に気づく力を身につけること。ここが重要です。
特に今回のテーマである『右脳』を鍛えるためには、収集した多くの情報を取捨選択する過程において、いろいろな角度で情報を見ることが大切です。
すると自分の中のポケットが増え、課題に対する処方箋を複数持てるようになるというわけです」(鈴木氏)
それでは、次のクイズにチャレンジして、思考を鍛えましょう!
問題1 なかなか売れなかった車が一躍人気に!そのワケとは?
ヒント
興味は持たれるものの、なかなか売れない。そんな状況で、「この商品はこんなに素晴らしいんですよ」「ライフスタイルにぴったり」と宣伝しても何も変わりません。
このクイズのヒントは「この車を買いたくない理由」を考えること。そして、それを解決する方法を考えてみましょう。
答え
いかがですか?「こんな簡単なことか」と思った方もいるのではないでしょうか?「この例題は、戦略とマーケティングの接点にある問題。単純な〝商品のすばらしさ“をアプローチする方法では効かない場合、角度を変えて考えなければいけません。つまりこれが、右脳的なジャンプです。思考を柔らかくして、いろいろな可能性について考えることから始めてみてください」(鈴木氏)
問題2 新幹線の1階席と2階席、不公平さをなくす方法とは?
ヒント
戦略思考力を磨き、右脳を鍛えるためには、与えられたテーマに対して、さまざまな角度から多くの可能性を考えることが重要です。
この問題のポイントは「不公平さをなくす」。そのためにどうすればいいのかをたくさんあげてみましょう。
答え
公平にするためには『眺めの良くない1階席の商品力を上げる』と考えがちなのですが、実はもうひとつ方法があるんです。それは『2階席の商品力を下げる』という方法。その方が、予算をかけずに簡単にできるんです。つまりここでは『2階席の価値を下げて1階席と合わせる』のがベスト。そこで導きだされたアイデアが『2階席はリクライニングシートにしない』ということでした」(鈴木氏)
その結果、窓からの景色を楽しみたい人は2階を利用し、イスを倒してぐっすり休みたい人は1階席というように、うまく棲み分けがなされたようです。
普段から”価値の提供”にばかり目を向けてしまいがちですが、ここでは逆のアプローチも有効であることに気づけるかがポイントです。
問題3 大手コンビニの市場制覇に対し、地元のコンビニ社長がとった策とは?
ヒント:こうした困った事態になると、戦略会議を開いてどうやって対抗するかを考えるもの。「敵」と「味方」に分かれているときほど、その対立構造に引きずられてしまうわけです。
答え
これも新聞で取り上げられた実際にあった出来事です。ちなみに、経営者は契約していたコンビニ本部から契約違反で訴えられ、多くの出費を強いられたそうです。
しかし、「会社がつぶれるよりはマシ」だったのです。リスクを天秤にかけて、訴えられる方を選んだのも、戦略的な判断というわけですね。
右脳編まとめ
違う角度から物事を見られるようになるためには、ひとつの事について、あらゆる可能性を考える癖をつけることが大切。
日々仕入れる情報の中でトレーニングし、役に立つと思うものを自分のものにする習慣を作ってみてくださいね。
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左脳編
「右脳編でもお伝えしたとおり、左脳を鍛えるうえでもやはり、たくさんの情報に触れることが大事です。さらに、その情報の中から使えるものに気づく力を身につけることも重要でしょう。
『左脳は論理的思考の脳』といいますが、左脳を鍛えるために必要なのは、直感でものを考えないことです。
一歩引いて、情報を分析してみることから始めてみてくださいね」(鈴木氏)
それではさっそくクイズを出題!
問題1 ペットが増えたのに、ペットフードの売上が下がったのはなぜ?
ヒント
まずは、「売り上げ」というものがどのように構成されているのかを考えてみましょう。そうすると、ここで矛盾が生じていることが分かり、糸口が見つかるかもしれません。
答え
「この問題、右脳的な発想では答えには絶対にたどり着けません。ポイントは、ヒントにもあるようにペットフードの売り上げがどのように構成されているかに気付けるかどうかです。
売上は『売上高=顧客数×単価×購入量×購入頻度』で計算できます。
そしてもう一つのポイントは、そこから『単価か購入量が減っているのではないか』と解決の糸口が見つけられる力があるかどうかです。
ここまできたら、あと少し。実はペットが食べる量が減っているのが理由でした。ではなぜ食べる量が減っているのでしょうか。
ここまで来れば、お分かりになる方も多いと思います。そう、クイズの正解は『(食べる量が少ない)小型犬が増えたから』なんです」(鈴木氏)
つまり、売上がどのように構成されているのかが、パッと浮かぶかどうかが、明暗を分けます。また、「ペットが増えているのに、売上が増えないなんてあり得ない」という固定観念に縛られてしまう人も、答えには近づけないかもしれませんね。
購入量が減っているという事実から、「その理由が小型犬ブーム」と発想を展開できる柔軟性も、この問題では大事なポイントです。
問題2 人気上昇のアメリカの小型歯ブラシ、日本で販売されなかったワケとは?
ヒント
これも、問題1と同様に左脳を働かせてみましょう。ポイントは、日本メーカーの売上が、どういう構成でできているのか考えてみることです。
答え
同じ売上の問題でも、違う角度からの因数分解が必要です。この問題の面白いところは、結果的に対抗商品を出さなかった日本のメーカーの売り上げは、落ちることがなかったという点です。
戦略思考的に言うと「対策を打たない方がいいこともある」という気付きにもなります。
問題3 ビッグサイズの歯磨き粉を早く消費させる戦略とは?
ヒント
同じ歯磨き粉の問題ですが、こちらは「売上高=単価×販売数量」という式のうちの販売数量をさらに細かく見てみてみましょう。
答え
ちなみにこうした考え方は、デジタルマーケティングの世界でよく使われるタイプのものですね」(鈴木氏)
一見すると、右脳的な発想力で答えに近づけそうな問題ですが、どこに工夫をすれば計算式の答えが増えるのかという発想で考えることが大事です。
左脳編まとめ
さて、いかがでしたか? 大事なのは、状況を論理的に分析しようとすることです。
3つのクイズからもわかるように、売上高を因数分解するということは、戦略を考えるうえでとても基本的な手法。
『売上高を上げる』といったようなうまくいくための方法はもちろん、『なぜ売上が増えないのか』についても論理的に把握することができるのです。
まとめ
さあ、あなたはいくつ正解できましたか?たとえ正解できなかったとしても、答え合わせをすることで右脳と左脳、それぞれの発想についてご理解いただけたのではないでしょうか。
右脳、左脳、どちらの考え方も戦略思考をするうえでは大切です。バランスよく使いこなして、日々のお仕事に生かしていきましょう!
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