by荻久保健一
【徹底解説】Web広告運用担当ってどんな仕事?転職するには?年収は?

Web上に表示される広告の企画、設計や入稿、集計から分析を行うWeb広告運用担当。近年特に転職市場で需要が高まっている職種の1つです。
この記事では、Web広告(インターネット広告)の運用担当者の仕事内容や代理店側と事業会社側を比較した気になる転職事情、年収などを、広告代理店勤務の現職マーケティング担当者が解説します。
Web広告運用担当者の市場と仕事について
まず最初に、Web広告運用担当者が働く市場規模と仕事内容について解説します。
Web広告運用担当と言っても、よほど細かく分業化されている企業でもない限り、入札や入稿だけをやっているわけではありません。
インターネット広告市場について
2017年日本国内のインターネット広告媒体費は1.2兆円を超え、前年比で117.6%成長を記録しました。数年前まで日本国内のインターネット広告はリスティング広告が中心で、広告ターゲットも日本人でした。
しかし最近はSNSのインフラ化、外国人観光客に対したインバウンド集客など、媒体だけでなく、ターゲットに対しての広がりも加速しています。
広告を出す側のクライアントのニーズも増え、インターネット広告を扱う媒体や会社、それに伴って広告を取り扱う担当者のニーズも高まっています。
Web広告担当者はどんな仕事を行うのか?
マーケティングの上流工程では、どの広告枠に広告を出すのかを決める戦略、戦術の立案やクライアントとの提案、打ち合わせなどの業務があります。
会社によってはフロント業務は営業担当が行います。広告代理店では広告運用と広告担当は分かれているのが一般的ですが、どちらにしても営業と広告運用の基本的な知識は必要となります。
運用担当の主な仕事は、広告配信の入札などの設定や準備を行う入稿作業です。
そして広告配信をおこなった結果を分析し、次のPDCAを回すための新たな施策立案などを行うのがWeb広告担当者の主な仕事です。
集計を行うため、媒体毎の使い方や基本的な広告の知識、さらにエクセルの知識と広告文やバナー案などを考えるクリエイティブの知識も必要となります。
Web広告と一口にいっても、リスティング広告やSNS広告、DSP(ディスプレイ広告)など様々な媒体が存在するので、新しいアップデートや手法に対しての勉強も日々の業務の1つです。
Web上の広告は多岐にわたる
インターネット広告の種類は豊富に存在しています。広告をどのサイトにいくらで出稿するのか、またどのタイミングで何のクリエイティブを配信するのかによって広告の種類は大きく変わってきます。
検索結果表示画面に表示するテキストのみの広告もあり、価格も様々です。クライアントの広告予算に合わせて効果的に組み合わせて運用するのもWeb広告担当者の重要な担当領域になります。 そこでここからは、広告の種類について解説します。
純広告
純広告は、例えばYahoo!のトップページに出てくる大きい広告などの種類の広告手法を指し、昔からある手法の1つです。
特徴としては広告を配信するサイトの最も目立つ箇所に広告を表示することができ、広告主はその広告枠を一定期間、一定額で買い取るといったものです。
課金形態は基本的には表示回数課金となり、表示回数1回につきいくらなのかの単価で算出されることが多くなっています。
広告主は比較的大きな金額をとりあつかうことが多く、取引の大きい案件を担当している広告担当者は扱う機会が増える広告になります。
運用型広告:リスティング広告
リスティング広告はYahoo!、Googleなどの検索エンジンで検索した際の、検索結果の表示枠に入札し、広告を表示する検索連動型広告です。
またYahoo!とGoogleが提携しているサイトに広告を表示することができるディスプレイ広告の総称になります。一般的には前者の方を指し、入札額やキーワードの競合の多さによって表示されやすさが異なります。
純広告と違い、どんな人にいつ、何をいくらで配信するのかを細かく設定することができ、これが運用型広告と呼ばれる理由です。
リスティング広告の課金形態は基本的にクリック課金型となり、クリック1回に対しての金額で算出されます。
運用型広告:SNS広告
SNSに表示される広告も運用型広告の1つです。 代表的な媒体は
- LINE
- (YouTube)
です。LINE Ads PlatformはLINEと業務提携をしている広告代理店でしか取り扱えないため、広告代理店のみ運用が可能ですが、それ以外は個人でも出稿が可能です。
たとえばTwitterユーザーであれば、一度は「プロモーション」と表示されているツイートをタイムライン(TL)上で見たことがあるかと思います。
また頻繁にツイートをする人であれば、「より多くのユーザーに届ける(Twitter広告)」などという記述を見たことがあるかもしれません。
SNSもリスティングと同様に細かな調整を行うことができる運用型広告の1つになり、課金形態も基本的にはクリック課金型を使う会社が多くなっています。
その他:DSP、キュレーションメディア
最近ではLogicad、CriteoなどのDSP(Demand-Side Platform、広告主のプラットフォーム。
広告出稿の費用対効果を高めたい広告主のためのサービス)や、SmartNewsなどのキュレーションメディアを扱う広告代理店も増えています。
DSPやキュレーションメディアは媒体にもよりますが、広告代理店は提案を行いますが運用するケースは約50%程度です。
広告運用はDSP側に依頼できることが多く、広告代理店は営業により近い形でクライアントへ提案を行い、運用を行わない代わりにクリエイティブを作成しているケースが増えています。
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Web広告担当者が働ける会社は広告代理店とインハウス
WEB広告担当者が働ける会社は、広告代理店、インハウスの2つに絞られます。
広告担当という立場でなければ、Yahoo!やSNSなどの媒体側に転職する人やフリーランス、また徐々にではありますが、副業/兼業で活躍している人も増えています。
広告代理店は大きく分けて3種類
広告代理店とは、文字どおり広告主に代わって、広告を提案や運用を行う会社を指します。 大きく、以下の3種類に分かれます。
総合広告代理店
総合広告代理店は、テレビなどのマス、印刷、ブースイベントまで幅広い広告事業を行なっている会社です。 (代表例:電通、博報堂、ADK、読売広告社など)
専門広告代理店
専門広告代理店とは、Webでの集客施策に特化している会社です。インターネット広告やSEO、サイト作成などを主観事業としています。
(代表例:サイバーエージェント、アイレップ、セプテーニ、オプトなど)
ハウスエージェンシー
ハウスエージェンシーとは、親会社の宣伝活動のためにある事業子会社の広告代理店を指します。
代表例はトヨタ系のデルフィス、JR系のジェイアール東日本企画、東急電鉄系の東急エージェンシーなど。自社/自グループ以外のクライアントをもっている場合もあります。
インハウスとは
インハウスとは、広告運用を広告代理店に頼むのではなく、広告主側の社内で行うことを指します。 規模感の大きい会社ではインハウスの専門広告運用者が常駐しています。
しかし規模感が小さい会社では広告運用や解析、サイトの更新など複数の業務をこなしている担当者が多く専門性だけでなく広い知識も求められます。
広告代理店とインハウスの違い
メリット | |
広告代理店 |
・ノウハウや最新の手法を学べる ・経営者と近い目線でビジネスを学ぶことも可能 |
インハウス(自社) |
・施策の自由度が高くスピード感が早い ・効果を出せば見返りも大きく期待できる |
広告代理店で仕事を行う場合のメリットは、広告媒体からのサポートが受けられるため、ノウハウや最新の手法を学べることです。
さらに、複数の広告主を担当するため経営者と近い目線でビジネスを学ぶことも可能です。 インハウスの強みは自社で行えるため、施策の自由度やスピード感が早いところです。
効果を出せば見返りも大きく期待できることもメリットの一つでしょう。 ただし業務の幅が広く、工数管理や最新の知識などのインプットが難しくなる一面もあります。
Web広告運用担当者の年収と転職
Web広告担当者の年収相場は400万円〜1,000万円になります。
広告担当者は年収は高くありませんが、広告を担当するだけでなく上流のマネジメントを行ったり、運用担当と営業を掛け持つなど複数のスキルを担当することで市場価値を高める方法があります。
エンジニアの市場価値が相変わらず世界的に高まり続けていますので、広告担当の知識をもとに開発を行って人材としての価値を高めている人も一定数いるようです。
年収は会社・役職によって大きく変わる
年収は地域でいえば、やはり平均的に東京が最も高くなっています。 役職では部長やリーダークラス。会社では総合代理店や、規模感の大きい専門代理店になるほど年収のレンジは高くなります。
専門代理店はベンチャー企業も多いため、給料よりもやりがいや挑戦を求めてベンチャーに転職する方も多く見られます。
またベンチャーでは新しく組織体制を作るためのマネジメント層や開発ができる人材のニーズも高まっており、ベンチャーの中でもこの2つに当てはまる方は年収が高額になる傾向にあります。
転職の王道パターンは2種類
転職をする場合の王道パターンは2種類です。専業の広告代理店から、他の広告代理店や総合代理店への転職。インハウスへの転職です。どちらにしても中途採用の場合は経験を求められることが多く、年齢が上になるほど複数年の実務経験と専門知識が採用には必須となります。
一方で、近年は第2新卒の需要も増し、また「第2新卒」の枠も拡大しています。 若手であれば未経験や経験が浅くてもチャレンジ枠として採用される可能性はゼロではありません。
転職する前にやっておくべきこと
先ほども述べたようにWeb広告運用担当者は、転職を行う際には専門的な知識や実績を求められることが非常に多くなる職種です。
また頻繁に行われるアップデートに対応したり、新しい手法をすぐに取り入れるなど、日々新しい情報がありますので、日常的な学習は欠かせません。運用型広告のジャンルに関しては、Googleが無料で公開しているGoogleデジタルワークショップや、Googleアカデミーを使って無料で勉強することが可能です。
Googleのオンライン学習サービスでは、セクションごとにテストに合格すると認定バッチをもらうことができ、認定証も発行されますので最低限の知識の証明が可能です(※上の画像は実際に筆者がデジタルワークショップのテストをクリアして、その証明として発行されたものです)。
まとめ
Web広告の広告費や領域、クライアント数は日々増加しており、それに伴い広告運用担当者のニーズも高まっています。
現在のところ市場価値が大きく高まっている職種の1つですが、「新卒から何十年もWeb広告運用担当を務めて定年退職した」という人は世界に一人もいない職業。広告運用担当としてのキャリアプランや転職についてお考えの方は、ぜひ下のリンクからプロの転職のキャリアコンサルタントにご相談ください。
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