by小野進一
なぜインターネット広告は伸びているのか?/デジタルマーケティング入門
プロの転職のキャリアコンサルタントの中でも、デジタルマーケティングのスペシャリストである野崎大輔が、デジタルマーケティング業界への未経験転職を検討している皆さんに向けて、応募にあたって押さえておきたい基礎知識を解説していきます。
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目次
日本の広告業界は、実は10年前からほとんど成長していない!
日本の現在の「広告費」の合計は、約6兆円(年間)といわれています。しかし、「6兆円」の内訳を見ると、実は10年前から様変わりしているのです。
新聞、雑誌、ラジオ、テレビの4媒体が「4マス」と呼ばれ、マスコミュニケーション・メディアの主要メディアとして取り上げられてきました。
しかし、10年前と比べるといずれも減少しているのが、グラフを見るとわかると思います。一方で、右肩上がりを示している媒体が一つあります。それが「ネット広告」です。
市場規模は1兆519億円(2014年:電通調べ)で、前年比112.1%の伸び。しかも、一説では5年後の2020年には2兆円にまで成長すると見られています。
ちなみの10年前の2008年の市場規模は、わずか1650億円ほどでした。なぜ、ここまで伸びているのでしょうか?
周りを見渡してもわかるように、スマホやタブレットの普及で、ネット人口は確実に増加しています。
ネットを使う人が増えれば、そういう人たちにアプローチするためにネット広告を活用する企業が増えるのは当然のことです。 加えて、ネット広告は「広告による集客効果が見える」こともメリット。
広告を経由してホームページに何人が来たか、そのうち何人が買い物をしたのかが分かるので、企業が集客に活用しやすいのです。
また、クリック課金型の広告ならば、広告費を低予算で抑えることも可能で、参入障壁が低いのも特徴。
これらの利点に注目した広告主サイドが、新聞、雑誌、テレビ、ラジオといういわゆる「4マス」から、広告予算をシフトさせているのです。
ただ、ひとくちに「インターネット広告」といってもその範囲はかなり広いです。
「インターネット広告」や「ネット広告」と検索すると、実にさまざまな専門用語や横文字ばかり検索結果にヒットするので、「よくわからない」と思われるかもしれませんね。
なので、今回は重要ポイントだけ覚えて下さい。インターネット広告の中で伸びているのはズバリ「運用型広告」です。
インターネット広告市場の拡大は、運用型広告が担っている!
2014年のインターネット広告市場における「運用型広告費」は5106億円、前年比123.9%という高い伸びを示しています。
ちなみにその前年は4122億円、前年比121.6%であり、2ケタ伸長が続いています。インターネット広告市場が伸びているのは、「運用型広告」が伸びているからといっても過言ではないのです。
「運用型広告」とは、電通社の解説によると「膨大なデータを処理するアドテクノロジーを活用したプラットフォームにより、広告の最適化を自動的にもしくは即時的に支援するような広告手法」と定義されています。
簡単に言えば、ユーザーのオーディエンスデータ(検索履歴や購入履歴、位置情報など)から個人を特定しない範囲で嗜好を読み取り、それに合わせて広告を表示する手法のことで、1クリックで何円などという形式で入札されます。
リスティング広告やDSP(Demand-Side Platform)などがこれに当たります。
ちなみに、「運用型広告」の対比となるのは「枠売り広告」。例えば、ポータルサイトのトップ画面右上に掲載されるバナー枠であり、期間と値段が決まっているのが特徴です。
代理店サイドにて「運用型広告」を扱うプレイヤーの大事な視点は、広告主の商材やビジネスモデルをしっかりと理解し、競合を踏まえた上で、ターゲット設定をしっかりと行うことです。
その上で、ユーザー属性を分析し、いつどこでどのようにアプローチすると最も良い反応が返ってくるのかを考え、広告を表示する仕組みを作ることが重要です。
その結果、どれぐらいの人が広告に接触し、実際に購入にまで進んだのか、具体的な数字で見ることができるので、さらにその結果を解析して新たな打ち手を考えます。
ひたすら、このPDCAサイクルを繰り返していくのです。
インターネット広告業界に向いている人とは?
うすうす感づいているかもしれませんが、この仕事はと~っても「地味」です。
広告業界に対して華やかなイメージを持っている人がいるかもしれませんが、そのイメージだけに惹かれている人は早めに考えを改めたほうがいいでしょう。
結果を出すために膨大なデータとにらめっこしながら、どういう手法を取れば広告主の広告をターゲットが見てくれるのか、頭をひねってひたすら考える。
こういう地道な作業をいとわない、根気のある人が向いている仕事です。やった分だけ、しっかりと数字で返ってくるのが、面白いところです。
テクノロジーは今後も進化していきます。新たな広告ターゲティング手法も増えてくるでしょう。
しかし、「運用型広告」を扱うプレイヤーはテクノロジーに躍らされることなく、本質を捉え、広告主の商材やビジネスモデルをしっかりと理解し、競合の動向を踏まえた上で、ターゲット設定をしっかりと行うことに尽力して欲しいと思います。
そのための手段が増えれば増えるほど、実現可能な世界が広がっていくわけです。ワクワクしてきませんか?
デジタルマーケターに転職するには?
上記でお話ししてきた通り、インターネット広告市場の拡大に伴い、近年は「運用型広告」を扱うプレイヤーの人手不足が叫ばれています。
すなわち、デジタルマーケターの需要が急増しているということです。
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アドテクノロジーの進化が、ネット広告の成長をけん引する
インターネット広告分野の成長が広告業界を支えているとお伝えしましたが、それをけん引しているものの一つに「アドテクノロジー」があります。
「アドテクノロジー」とは、インターネット広告における配信技術や広告流通の技術を指します。 このアドテクノロジー(以下、アドテクと略します)の進化が、インターネット広告をさらに便利なものにしているのです。
…と急に言われても、業界未経験者には何のことだかピンと来ないでしょう。では、現在のインターネット広告業界の構図を表した「カオスマップ」を見ながらご説明しましょう。
…余計わからなくなったよ!という声が聞こえてきそうですね(笑)。インターネット広告は成長分野であるだけに、多数のプレイヤーが参入し、年々カオスな状態になってきています。
マップの一番左にはMARKETER(広告主)、右から2番目にPUBLISHERS(媒体)があり、この中に載っている会社・サービスは、基本的にメディアの売り買いに関わっています。
これまでは広告を購入するには、
- 広告主
- 代理店
- メディアレップ
- 媒体社(メディア)
という流れで購入する必要がありましたが、アドテクを使うことで自動化や付加価値が追加されるようになり、この流れをある程度省略することができるようになりました。
ここでキーワードとなるのが、「DSP」「RTB」「SSP」の3つ。
今回は、インターネット広告を理解する上で重要な、この3つの言葉について説明しますので、ぜひここで覚えていただきたいと思います。
ネット広告の「ばら売り」が進み、企業の使い勝手がさらに向上
「RTB」はReal Time Biddingの略で、広告在庫をリアルタイムにオークションで販売し、入札して購入する仕組みです。
この仕組みに対応したのが、メディアの広告在庫をオークションで販売する仕組みとして媒体社側が導入する「SSP」と、そのオークションに参加し、広告在庫を買うための仕組みである「DSP」です。
「SSP」は、Supply-Side Platformの略で、インターネット広告において、媒体社の広告枠の販売や広告収益の最大化などを支援する仕組みのことです。
「DSP」とは、Demand-Side Platformの略。DSPを使えばRTB経由で、1インプレッション単位毎に、広告主が必要な媒体・広告枠やそれを閲覧しているユーザーを、自社の判断で買うことができるようになります。
媒体社はSSPを導入することで、RTBの仕様に則り、1インプレッション(1つの広告在庫)単位で販売することが可能になります。
つまり、インターネット広告は、欲しいものを、欲しい時に、欲しい分だけ手に入れられる「バラ売りの時代」になっているのです。
アドテクの進化によって、広告主である企業にとって非常に使い勝手のいいものになっており、スマートフォンの躍進も後押しとなり、ますますインターネット広告分野への出稿シフトが進むと予想されています。
今もアドテク分野は日々進化しており、それによりインターネット業界の構図も変化する可能性が大です。インターネット広告に携わる人は、常にアドテクの動向に注目しているのです。
ただ、ここで大事なのは、テクノロジーに振り回されるのではなく、広告主の目的はユーザーに必要な情報を届けることであるのを見失わないこと。
その手段がより明確化して精度が上がっているという事実を忘れないで頂きたいですね。
さきほど、インターネット広告業界に向いているのはデータ分析という地道な作業を厭わない、根気のある人が向いている…とお伝えしましたが、インターネット広告に携わる者にとって「アドテク」に関する知識は必要不可欠です。
今回の話で、アドテクにちょっとでも興味を持てたという人は、十分な有望株! ぜひ、この3つのキーワードをフックに、さらに知識を広げてみてください。
ネット広告市場は、5年後には現在の2倍の規模に!?
今後も、ネット広告分野は成長が期待されます。
生まれた時からネットが身近にある「デジタルネイティブ」の比率が年々増加することで、ネット人口はさらに増加し、ゆくゆくは全人口がネットを活用するようになると見られるからです。
今のお年寄りの中でネットで買い物をしている人は少ないと思いますが、私たちの世代が70代、80代になったら、きっと皆Amazonで水を買うでしょうね。
ネット広告の市場規模は、IoT(Internet of Things)化の進展もあり、一説では2020年に2兆円規模にもなると言われています。つまり、5年後には現在の倍の規模となり、TVを超える勢いです。
冒頭で、「成長していない業界に入社するのは超危険」とお伝えしましたが、ことネット広告に限って見れば、とても有望であり、チャンスが大きいのです。
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