byプロテンMZ編集部
成功する組織は「組織育成」がカギ!成功事例に学ぶ、業績向上のための施策とは?
少子高齢化が進み、労働人口が減少していく日本。 少しでも生産力を維持しようと、国は「働き方改革」を中心に様々な政策を打ち出しています。
今ある資源を使い最大限の成果を出すことが求められている世の中で、組織育成に苦悩している経営者・人事の方は多いと思います。
「組織を育成・改善し、少しでも業績アップにつなげたい!」と考えているマネジメント層の皆さん。組織の中で以下のような問題を抱えていませんか?
- 部門間のコミュニケーションがあまり活発でない
- 社内で情報共有ができていない
- 社員のモチベーションを上げる方法が分からない
- 部下や新入社員との信頼関係の築き方が分からない
こうした組織の問題を解決すべく、具体的な施策をまとめました。 ヤフー株式会社やクックパッド株式会社などの有名企業も実践する成功事例も合わせて紹介していきます。
目次
組織育成がうまくいっている組織とは?
組織育成がうまくいっている組織には以下3つの傾向があります。
- 社内のコミュニケーションが活発であること
- 社員のモチベーションが高いこと
- 上司と部下の関係が密接であること
一見、簡単そうな項目に見えますが、全部クリアできている会社はそう多くないはず。これらの項目はなぜ重要なのか、それぞれの項目ごとに詳しく見ていきましょう。
社内のコミュニケーションが活発
組織育成が上手な組織のポイント1つ目が「社内のコミュニケーションが活発であること」です。 グローバル化、リモートワークの導入など、日本企業の働き方は日々変化しています。
どの時代においても多くの企業が重視しているのが「社内でのコミュニケーション」。 しかし、HR総研の調査によると「社内のコミュニケーションに課題があると思うか」という質問に対して、約8割の企業が「課題がある」と解答したそうです。
コミュニケーション不足を感じる具体例としては、
- 会話の少ない環境。
- 組織が縦割りで、連携が取れていないと思うことが良くある。
などの点が挙げられます。
参考:HRプロ「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告
社内でのコミュニケーションにも2種類あります。
- 経営層と社員、上司と部下といった「縦のコミュニケーション」
- 事業所や部門、職種の間といった「横のコミュニケーション」
縦のコミュニケーションが活発であれば、経営層の考えを社員にきちんと伝達できます。
一方、横のコミュニケーションの動きが活発であれば、部門間で結束し、会社としての方向性をブレすに進むことができるでしょう。
最終的に社内全体で「働きやすい環境」「独創的なアイデア、他社に先駆けた戦略が生まれる」などの効果が生まれ、業績アップに直結するのです。
社内でのコミュニケーションが少ないと、お互いに誰が何をやっているのか分からなくなってしまいます。やがて業務の支障を引き起こし、売上損失に繋がってしまうでしょう。
そのため、コミュニケーションに課題を感じている企業は組織育成をする必要があります。
社員のモチベーションが高い
組織育成が上手な組織のポイント2つ目が「社員のモチベーションが高いこと」です。
小さい頃、スポーツや遊びなど、好きなことに熱中して取り組んだ経験はありませんか? 気が付けば丸1日終わっていた・・というように、モチベーションは「とんでもない集中力で物事をやり遂げる力」を引き起こします。
私たち人間は、好きなことをすることで高いパフォーマンスが発揮できる生き物です。
仕事でも同じで「社員のモチベーション」が無ければ、仕事で高いパフォーマンスを発揮することができません。 仕事に対するモチベーションを高く維持している組織では、
- 離職率が低くなる
- 仕事の質と生産性が上がる
- 会社へのエンゲージメントが高まる
- 組織の士気が高まる
など、上記のようなメリットがあると考えられます。 好きなことならともかく、仕事中もモチベーションを保てと言われても難しいですよね。
社員にとって、ほとんどの仕事は「やる気が出ないもの」であり、無理に引き上げようとしても失敗するケースがほとんどです。「仕事はやる気が出ないもの」というのを前提に、「どう組織育成をし、社員のモチベーションを引き上げていくか」を考えていくべきです。
上司と部下の関係が密接
組織育成が上手な組織のポイント3つ目が「上司と部下の関係が築けていること」です。 仕事上、一緒にいることが多い上司と部下。
一見深い信頼関係を築けていると思いきや、「上司が私のことを理解してくれない」というギャップがあるかもしれません。
部下と上司の関係は仕事において非常に重要です。関係をうまく築くことで、「ミスが減る」「上司や会社に対する信頼感が高まる」などの効果があります。
もちろん上司側にも「部下をより深く理解でき、サポートしやすくなる」などの利点があるので、組織全体のパフォーマンスを大幅に上げることができます。
反対に部下上司の関係が希薄な場合は、重大なミスを引き起こしてしまう可能性があります。部下が仕事で悩んでいる中、誰にも相談できずに行動してしまい、結果業績の悪化に繋がってしまうでしょう。
組織文化の根強い企業において、上司の存在は部下のパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。部下との信頼関係をうまく築けるかどうかは、管理職に就いたときに直面する大きな課題のひとつです。
改善していない場合は組織育成をして見直す必要があります。 昔は「飲みに行こう」と上司が部下を連れ出し、仕事やプライベート、腹を割って話し合う「飲みにケーション文化」が流行りました。
しかし、最近では「自分の時間が大事」「残業しているみたいで嫌」という理由で飲みに行きたがらない人も増えています。昔とは違う環境の中、組織育成を通じてうまく関係を築いていくことが重要です。
組織育成の成功事例
「組織育成のうまくいっている組織の特徴」について紹介していきました。しかし、実際にどのように組織を育成していけばいいの?という経営者・人事の方もいるはず。
そこで、有名企業も実践する組織育成・改善方法を紹介していきたいと思います。 組織育成のヒントとして参考にしてみてください。
フリーアドレス制度
もし、「もし社内のコミュニケーション不足」を課題に感じていれば、組織育成として「フリーアドレス制」を取り入れてみるのが有効です。
フリーアドレスとは、社員が固定席を持たず、空いている席を自由に使って仕事をするワークスタイルのことです。
「決められた位置にデスクが配置され、社員はそこで毎日仕事をする」というのが現代の一般的なオフィススタイルでしょう。
一方、フリーアドレス制では「いつも同じ場所で仕事をする」という概念をなくし、毎日新鮮な気持ちで働くことができます。 フリーアドレス制には様々なメリットがあります。
- コミュニケーションの活性化
- コラボレーションの促進
- 環境美化
垣根を隔て様々な人と関わる機会が増えるため、組織の活性化に繋がりやすくなる、営業と開発など違う部署の人とのコミュニケーションをも生まれるため、新しいアイデアが生まれる、知識や情報の共有が進むなど、「指定席」をなくすだけで様々な効果が期待できます。
また、オフィス空間全体が共有の場所となる為、環境美化の意識も高まるでしょう。
フリーアドレス制度は、カルビー株式会社、日本マイクロソフト株式会社、総務省など、あらゆるところで導入され絶大な効果を発揮しています。
その中でも今回は「ヤフー株式会社」の事例を紹介したいと思います。
ヤフー株式会社では、2016年10月、東京ガーデンテラス紀尾井町への本社移転に伴い、「フリーアドレス制」を導入しました。約5,700人の社員が、20フロアある執務エリアの好きな場所で働くことができます。 入社当時のオフィスは、どこのオフィスにもありそうな造り。毎日そこで仕事して、効率よくアウトプットすることが求められていました。
その後、ヤフーのサービスはPC・スマホなど、あらゆる場所で使われるようになり、急成長を迎えます。そんな中、社員の中で一つの疑問が頭をよぎりました。 「サービスがどこにいても使える一方で、自分たち自身は固定的な働き方をしてしまっている。このギャップは一体なんだろう……」
そこで、この移転を機にフリーアドレス化することを決心しました。規則正しく理路整然としたレイアウトから、自由で不規則な配置のレイアウトに。
参考画像:https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2016/06/21a/
机を不規則に配置することで、従業員同士のコミュニケーション量が約2倍に増えたそうです。環境が変われば、そこから生まれるイノベーションにも期待できますね。
ピアボーナス(成果給)
もし、「社員のモチベーション不足」を課題に感じていれば、組織育成として「ピアボーナス制」を取り入れてみるのが有効です。ピアボーナスとは、日ごろ表面化しにくい仕事による成果や貢献などに対して、従業員同士が互いに成果給(ボーナス)を送り合える仕組みのことです。
「参考資料を送ってくれた」など、誰かに何かしてもらったとき「お礼に◯◯ポイント上げよう。」といった形で使われます。
このポイントは自分が貰うことはできないし、翌週の持ち越しもできません。だいたい1日に100回ほどポイントのやりとりがされていて、月に1.5万円分ほどのポイントを貰っている従業員も。
一定数のポイントを貯めたら、Amazonギフト券と交換ができます。 ビアボーナス導入による効果は大きく分けて3つ。
- 社員が部署を超えて協力しあうようになる
- 成果を承認されているという実感値が増す
- 事業・サービスに誇りを持つ社員が増える
現在は、Fringe81株式会社の「Unipos」というシステムを通じて展開されています。このシステムが作られたのは、Fringe81社の「ある課題」が背景にありました。
2012年に設立し、広告事業を中心に様々なサービスを展開している「Fringe81株式会社」。同社はここ数年で従業員数が30名から約約130名にまで増加し、爆発的な成長を遂げました。急速な成長に伴い「マネジメントを改善するための情報が蓄積されない」という課題が。
元々はエンジニア中心の社員構成でしたが、「営業系の社員」もメンバーに加わり、組織がどんどん拡大していきます。そんな中、誰がどんな働きをしたのか把握できない、という事態に陥ってしまいました。
「こんなクレームが起きています」「辞めそうな人がいます」という情報は、目立つのですぐに発見できますが、「◯◯さんがこんなことをしてくれました!」「もっとこうしたら良くなる」というポジティブな情報は目に留まらず、すぐに流れて行ってしまいます。
このままでは、マネジメントをより良くしていこうと思っても、何か問題が起こった時以外にしか対応できずに終わってしまいます。このままではマズいと考えた社長は「他選MVP制度」を導入しました。
他選MVP制度とは、例えば「◯◯さんがバグをこっそり潰してました!」というような形で、従業員に「もっと知ってほしい、素晴らしい仕事した人」を選んでもらい、月に1度、全従業員の前で表彰するものです。
この制度が成功し、今度は「他選MVP制度」にインセンティブを紐づけた「ビアボーナス制度」を導入しました。オープンな場で同僚から感謝のメッセージと少額のボーナスを受け取れる。ピアボーナスは社員のモチベーションを引き上げ、さらなる組織の成長に貢献したのです。
結果的にこの3年間における、エンジニアの離職者はゼロに。組織改善の成果もあってか、2017年の6月には、東証マザーズへ上場を果たしました。
1on1 meeting
もし、「上司部下との関係」を課題に感じていれば、組織育成として「1on1 meeting」を取り入れてみるのが有効です。 「1on1」とは、上司と部下が1対1で定期的に行うミーティングのこと。
米国シリコンバレーでも“1on1 meeting”は文化として根付いており、人材育成の手法として今、世界的に注目を集めています。1on1では10分~30分という短い時間の中、フランクな雰囲気での面談が進められます。 話す内容としては、日頃の業務のことから雑談まで様々です。
一番期待できる効果は「上司部下の信頼関係づくりができる」こと。たった10分で、業務の進捗からプライベートまで、部下に関する幅広い情報を把握することができます。
部下にとっても「相談相手」がいることで、安心して業務に取り組むことができるでしょう。
情報レシピサイトのクックパッド株式会社も、この制度を採用し成果を上げています。もともとクックパッドはチーム規模が2〜3名と小さく個人プレーの多い企業でした。
そこで「お互いをもっと知ろう」というのをきっかけに、エンジニア中心に導入し始めたそうです。その結果、メンバーと強い信頼関係が築かれ、チームに活気が生まれ、結果としてチームの一人一人がより良い仕事ができるようになりました。
飲み会の場をわざわざ設けなくでも、部下との信頼関係を深められる画期的な方法だと思います。
まとめ
この記事では、今よりパフォーマンスを上げるために「どのように組織育成・改革をしていけばよいのか」という観点で、重要なポイントや事例についてお伝えしました。
改めてこの記事の概要をまとめると以下の通りです。
◆業績アップが見込める組織を育成するには?
組織育成法その1.社内のコミュニケーションを活発にする
事例1)フリーアドレス制:ヤフー株式会社
自由席で仕事してもらうことにより、コミュニケーションを活発化させ、知識や情報の共有・アイデアの創造を促す。
組織育成法その2.社員のモチベーションを上げる
事例2)ピアボーナス制:Fringe81株式会社
日ごろ表面化しにくい仕事による成果や貢献などに対して、従業員同士が互いにチップを送りあうことにより、エンゲージメントの向上・社員のモチベーションを狙う。
組織育成法その3.上司と部下の信頼関係を築く
事例3)1 on 1meeting:クックパッド株式会社
上司と部下が1対1で定期的に面談することで、部下の成長を促し社内全体のパフォーマンス向上につなげる。 これからますます「生産性」に焦点が置かれる日本企業。
「今よりもっと、いい成果を出せる組織にするにはどうしたらいいの?」と頭を悩ます機会も増えるでしょう。
そんな時は、この記事を参考に自分のチーム・会社で取り入れられそうだと思ったものを実践してみてください。 組織が成長し、皆さんがいきいきと働ける組織作りの助けになれば幸いです。
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