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インタビュー

by依田昂騎 依田昂騎

【株式会社ドングリ】課題を解決できるクリエイティブにこそ真の価値がある

クリエイターに求められるスキルが大きく変わり始めています。

その変化にいち早く気づき、クリエイティブの新たな価値を生み出しているのが、今注目のデザインコンサルティングファーム「株式会社ドングリ」。

クリエイティブの開発に留まらず、企業の新規事業開発や経営コンサルなどにも携わり、数々の実績を残している同社。代表取締役社長・ミナベトモミ氏に同社の事業と自身のデザイン思考についてうかがいました。

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各領域のエースが集結! クリエイティブの域を越え抜本的な改革に挑むゼネラリスト集団

プロの転職 まず、御社の事業内容をお聞かせいただけますか?

ミナベ氏 弊社はデザインコンサルティングファームとして、各企業が抱えている経営課題をデザインシンキングを用いて提起、解決するという業務をしています。

売上を拡大するための新規事業開発や新商品開発。中でも得意としているのは、消費財の開発で、これまでにデザインフェイスパックやまつげ美容液などのヒット商品をつくってきました。

また、知名度を上げたり企業イメージを刷新するためのコンサルティングも手掛けていて、その過程で、インナーブランディングツール開発や、既存ブランドのプロダクトデザインやパッケージデザイン、各種Webサイトのリニューアルなどを行っています。

プロの転職 さまざまな領域にまたがってのサービス提供が可能な理由は何でしょうか。

ミナベ氏 それぞれの領域においてスペシャリストを揃えています。 WebであればAwwwardsを受賞をしているクリエイター、パッケージであればデザイン書籍に多数取り上げられているクリエイターがいます。

どの領域においてもハイクオリティを担保し得る体制にしていますので、デザインコンサルティングファームとして経営課題を解決するために色々な角度から最大限効果を発揮できるコンサルティング提案が可能です。

プロの転職 なるほど。ただ、クオリティの高いクリエイティブを提供できるとしても、経営課題の解決というような抜本的な改革に取り組むには、経営陣とのリレーションが必須だと思います。

どのような方法で経営者の方々とコミュニケーションを取られているのでしょうか。クライアントは、最初から御社のファンであることが多いのかなと思っているのですが。

ミナベ氏 そうですね、そのケースは多いです。おかげさまで毎月多数のお問い合わせをいただきますが、そのうち半数が新規の企業です。

業種も規模もさまざまですが、「弊社になぜお声がけくださったのですか?」と聞くと、弊社がデザインコンサルを手掛けたヒット商品をきっかけに以前から知っていました、という方が多いですね。

プロの転職 それだけたくさんの依頼があれば、いわゆる上流からの解決を求められるわけでなく、ビジュアルの開発だけを依頼される場合もあると想像します。

そのような場合は、どう解決されるのでしょうか。

ミナベ氏 クライアントからの依頼内容をそのまま受け取るのではなく、例えば「こんなイメージのWebサイトを作りたい」と仰っていれば、「そもそもなぜWebサイトをつくろうと思ったのか」を聞きます。

すると、「採用がうまくいかない」であったり「商品の良さがユーザーに伝わっていない」であったり「顧客層をガラリと変えたい」であったり、本質的な課題が見つかります。

そこで、それを根本的に解決できる提案をゼロからさせてください、とお伝えします。 仕事は、ただ言われたことを形にするのではなく、バリューを出すことが基本です。

そのためには、先方の要望を鵜呑みにするのではなく、本質を捉えて、本当の課題を解決しないといけません。

プロの転職 御社では、ミナベさん以外の方もそういった抜本的解決をサジェストできる方がいらっしゃるのですね。

ミナベ氏 そうですね。ドングリのクリエイターは全員こういう提案ができるゼネラリストを目指しています。

賞を取れるクリエイティブなのにユーザーが盛り上がっていない!?

株式会社ドングリ プロの転職 以前ミナベさんが「日本にはなぜIDEO(アイディオ)※のような会社がないのだろう」とおっしゃっていた記事を拝見しました。

そうしたお考えを踏まえて、現在の事業をおこなうに至った経緯について教えてください。 ※デザインコンサルティング会社。本拠地はアメリカ合衆国カリフォルニア州。世界最高のデザインファームと称される。

ミナベ氏 もともと大学時代に美術史と近代デザイン史を勉強していました。

IDEOが生まれた時代からデザインシンキングが浸透し、ビジネスにも反映され始めているということも大学生のときに学んだんです。

プロの転職 ご自身でクリエイティブ職として手を動かしたいという気持ちもあったのでしょうか。

ミナベ氏 大学時代から、フリーランスで営業をしてデザインの仕事を受けていました。

その後、代理店やプランニングの会社で働いて、プランナー、デザイナー、ディレクター、実装までひと通り全部経験したんです。

こうした経験を積むごとに、日本のクリエイティブ市場はルーチンワークで分業制が多く、戦略の提供や本質に切り込むことでバリューを生むことがないことを実感しました。

IDEOのような会社は日本にはないと。だったら自分がつくってみようと思ったのが、ドングリの始まりです。

プロの転職 あらゆる職種を経験されているんですね。実装までされていたとは驚きました。

ミナベ氏 いわゆるWebキャンペーン企画やバズ企画などをやっている会社でも働いてみました。世界的な賞や広告賞を取れば何か変わるのかなと思って。

でも、実際に賞を取ると、業界内では盛り上がるのに、「全然売れなかったね」ということがよくあって。つまりユーザーが盛り上がっていない。悔しかったですね。

だから、IDEOのように課題にフォーカスをしてその課題を解決できるサービスをつくらないと、業界自体が終わると思いました。

実際、2010年前後から、クリエイティブの事業所は約15%が倒産しています。それはバリューを提供できていないからだと思います。

プロの転職 業界内で評判の良いクリエイティブなのに課題の解決にはなっていなかったという状況はたしかに目にしますね。

今クリエイターには、ハイクオリティなクリエイティブだけでなく、課題を見つけて解決するというビジネスプロデュース的な目線が求められているのですね。

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クライアントよりも深く知り課題の本質を見つける。いわば企業のインハウスマーケター

プロの転職 改めてお話をお聞きし、御社の事業は、企業のインハウスマーケターを請け負う形だと思いました。具体的にはクライアントに対してどのような提案をしていくのでしょうか。

ミナベ氏 たとえば、最初はWebサイトの制作依頼だったとしても、よく話を聞くと、Webサイトを変えただけでは本当の課題は解決しない場合が多々あります。

そういうときは、最初のコンセプト開発からプロダクトの練り直し、パッケージの練り直し、Webマーケティングのタッチポントの見直し、イベントやCMプロモーションの開発まですべて弊社でコントロールをし、戦略とクリエイティブを請け負います。

インハウスマーケターとしての知見があることは弊社の強みですね。

プロの転職 単純なWebサイトの制作依頼だったところを、その企業のインハウスマーケター機能を受け持つまでに至るには、経営者の方を説得する必要がありますよね?

それはすごく難しいことだと思うのですが、どのように説得されているのでしょうか。

ミナベ氏 事前に事業について深く調べます。市場動向や競合企業状況やその企業の強みと弱みなど。

また、組織体制や、幹部とメンバーとのコミュニケーション頻度や社内での取り組みなどもお伺いしていきます。そうすると、「こういう壁にぶつかっているだろうな」と大まかに見えてきます。

そこで経営者様に「今、こういうお悩みがありませんか」「実はこうしたいというお気持ちがありませんか」とジャブを打つと、「そうそう! そうなんだよ!」と。

そこからより経営の根幹となる部分までお伺いしていき、いろいろな角度から大小さまざまな課題を出していきます。

経営者様がうっすら気づいている課題、「痛いところを突かれたな」というポイントを外さずに指摘していくと、いよいよもってしっかり取り組んでいくべきだ、と感じていただけます。

プロの転職 これまでのお話をうかがっていると、御社が人材に求めるレベルはかなり高いので、そこに達する方は、なかなかお目にかかれないのでは…と思うのですが…。

ミナベ氏 最初からそこまでできる人はいないと思います。ですが、早ければ数カ月~半年、遅くても1~2年で鍛えればできます。

ただ、それは、出来る限りクライアントに深く入り込もうとか、バリューを出すためにはどうしたらいいのかを必死に考えてきた人に限ります。

自走して、地頭を鍛えようというモチベーションのある人ですね。そういう人は大歓迎です。

プロの転職 なるほど、最初から全てができなくても、課題解決方法を自分で考えられる人なら成長できるのですね。

ドングリは“ひとりなんでもコンサルタント”の最大の“遊び場”なんです

プロの転職 必要とされるモチベーションという面では、いかがでしょうか。

ミナベ氏 そうですね、先ほど言った、自走できること。いわゆるベンチャーマインドを強く持った人。弊社はサービスの提供範囲に制限がありません。

クライアントの課題を解決すること、社会に良い影響を波及していくことを目的にしていれば、自由にやっていいよ、というスタンス。なので、良質な “遊び場”を提供しているというイメージですね。

自分がチャレンジしたいこと、自分が実現したいことが明確で、クリエイティブはそのためのツールと捉えている人には、ドングリという“遊び場”は最適だと思います。

あと、論理思考でガリガリとビジネスを推進をする一方、デザインシンキングも使って、一般の会社とは違うプロセスで事業を回すので、そういうニッチスキルを身につけたい、というかレアキャラになりたい人には向いていますね(笑)。  

プロの転職 ひとりクリエイティブエージェンシーみたいな感じですかね。  

ミナベ氏 そうですね、“ひとりなんでもコンサルタント”みたいな人が、ドングリという最大の“遊び場”に続々と集まって来るようにしたいですね。  

プロの転職 なるほど、“遊び場”ですか。自由な発想が出来る環境が整っていて、個性溢れる面白いアイデアがどんどん生まれるわけです。

会社として、今後の展望はどのようにお考えでしょうか。  

ミナベ氏 ここから3年は、商品開発ブランディングにおいて唯一無二の会社であるという認知を広く与えていきたいです。

並行して、自社事業開発も行っているので、本格的に収益化してブランドが独立している状態をつくりたいですね。コンサルティングワークと自社事業を半分ずつやっている状態がベストです。

5年後はブランディングと自社事業開発がうまく回っている状態まで成長して、10年後にはインフラを整えていきたいと思っています。

ベルトコンベア式ではなくて、デザインコンサルティングという仕事がきちんと普及していて、社会全体に提供できている状態です。

共創が重要視される時代なので、僕らのクライアントだけが強くなるのではなくて、社会と一緒に共創できるようになりたいですね。  

プロの転職 御社のWebサイトを見ると、20名という少人数でどうしてここまで多岐に渡って出来るのかが不思議でしたが、今日のお話をお聞きして実現できる理由が明らかになりました。

私も、10年後、デザインコンサルティングという仕事が業界内だけでなく社会に広く認知されて、ますます活性化しているといいなと思います。御社はまさに、その先陣を切る企業なのですね。  

取材こぼれ話

ドングリさんが事務所を構えるのは、北区王子。どうやらその場所を選んだのには理由があるようです。最後にちょっとだけ聞いてみました!  

プロの転職 ドングリさんは、北区の行政ブランディングも手がけていらっしゃいますよね? 北区出身の漫画家「清野とおる」さんを起用されて。北区に何か特別な想いがあるのでしょうか。  

ミナベ氏 まず、私が北区出身で、今も北区に住んでいるんですよ。それに北区は住宅街で、オフィスが少ないんです。

経営者の高齢化が止まらないし、後継者もいないので引退したら終わり、という会社が多い。若者もみんな区外に行ってしまうので流出もとまりません。

東京都なのに地方みたいな感覚。だから私としては、北区で産業を興して、雇用を生み出す仕組みをつくり、若者を誘致できたらとか、ファミリーが増えたらいいなと思っているんです。

産まれた土地に還元しないといけないという使命感ですね(笑)。だから北区の行政ブランディングもやらせていただいたんです。  

生まれ育った北区に恩返しをしたい、そんなミナベさんの熱い想いから、北区に構える株式会社ドングリ。

まさに、ミナベさんが作り出した“レアキャラのクリエイターが集まる遊び場”なのだと思いました。

これからも、この北区王子の素敵なオフィスから、あっと驚くような価値あるアイディアを生み出してくれるはず。今後の活躍に注目ですね。  

撮影/田底和彦

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依田昂騎

依田昂騎

この記事を監修した人 依田昂騎 プロテンマガジン編集長

クリエイティブ出身のマーケター。コンテンツディレクター。これまでのキャリアを活かして、働き方改革やキャリアをテーマにした各種メディアで発信中。

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