by飯田賢平
市場価値を上げるベンチャー転職!そのとき本当に検討するべきポイントとは?完全解説
世の中ではさまざまな領域で次々と新しいベンチャー企業が生まれており、積極的に採用をおこなっている企業が多数あります。
ただ、いざ転職を真剣に考えたとき、「設立したばかりだから安定していないのでは?」「倒産の恐れはないのか?」と不安を感じる人もいるでしょう。
また一方で、特に20代の方の、ベンチャー企業への転職は非常に人気が高くなっています。
しかしその理由を掘り下げると、ベンチャー企業の魅力を勘違いしていたり、理解できていなかったりするケースが多く見られるのも事実です。
そこでここでは、プロの転職のエグゼクティブコンサルタント飯田賢平が、ベンチャー企業への転職に際して本当に検討するべきポイントと働くメリット・デメリットを深掘りして解説します。
「せっかく転職したのに目指していたキャリアが築けない」などという結果を招かないように、大切なポイントを押さえましょう!
【プロフィール】
飯田賢平 取締役COO/エグゼクティブコンサルタント
理系の大学卒業後、電機メーカーから宣伝会議グループに営業職として転職。2008年に代表の小野とホールハート創業。広告・PR・ベンチャーなど幅広く企業の採用に携わる。特にベンチャー・スタートアップとの経営陣とのネットワークを持つ。キャリアに関する「アニキ」のような存在になり、転職後も飲みに行くような関係になること多数。1982年生まれ。
目次
求人数が増加!注目のITベンチャー企業
新規IPO(※上場すること)を果たす企業が増加し、成長企業群として株式市場からも特に注目されているのがIT業界を中心としたベンチャー企業。
成長に比例して、弊社の求人案件の中でもITベンチャー企業の割合がますます増えています。
ベンチャー企業という形態の特徴は、熟成される前の段階にあり、多くの場合コアメンバーは少人数で運営されているということです。
大企業と異なりルーチンで済ませていくことは難しい場合もありますが、自分の持ち味や判断力を存分に生かしやすい場合もあるところは見逃せません。
やればやっただけ評価につながりやすいのは、キャリアアップを志して活動していく際には決して無視できないポイントです。
ベンチャーは人員の流動性も高い場合が多いので、ある程度の実績を積んだらまた転職をするといったことでステップアップしていく戦略も立てられます。
ただ勤め上げていくといったキャリアプランではなく、何らかの展望を持って数歩先を見据えているのなら検討に値するといえるでしょう。
統計でわかる日本の転職の現状
厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果の概況」によると、平成29年の入職者数は788万1500人。 離職者数は734万5000人で、入職者数の方が離職者数よりも53万6500人多い結果でした。
平成29年だけでも、6~7人に1人は何かしらの新しい職に就いている現状です。
いまや「終身雇用」は当たり前ではなく、多くの人が新しいキャリアを求めて転職・就職をするのが、ごく一般的な価値観であるといえる日本社会になっています。
大手だから安心とは限らない
「やっぱり大手の方が安心」と思われる人も多いかもしれませんが、昨今のニュースを見てください。
ほんの10年前は「超大手企業」ともてはやされたメーカーが経営不振に陥り大幅なリストラを敢行していたり、急な不祥事で著しく信頼を落としていたりします。
世界的な大企業ですら、終身雇用を維持することは難しいと発表して大きな波紋を呼んだのは記憶に新しいところですよね。
誰もが知っている大手だからといって、必ずしも安泰とは限らないのです。また、ある調査機関によると、このような統計データがあります。
設立5年で倒産・廃業する企業
|
85%
|
設立から10年以上存続できる企業
|
6.3%
|
設立から20年続く会社
|
0.3%
|
設立から30年続く会社
|
0.025%
|
つまり、100の会社が生まれても、30年後にはほぼ1社も残らないということ。 そのような状況下で、「ずっと生き残るベンチャー企業」を見極めるのは不可能です。
つまり、大手もベンチャーも、リスクはあるのです。
広告・ITベンチャー売上高ランキング
こちらは、広告業界とIT業界のベンチャー企業に絞った売上高ランキングです。一口に「ベンチャー企業」といっても、数人規模から社員数百人のいわゆる「メガベンチャー」まで、色々な企業があります。
このランキング表のうち、名前を知らなかった企業はありますか?
<ベンチャー企業の売上高ランキングについてもっと詳しく知りたい方ははこちら>
ベンチャー転職で想定されるメリット
設立して間もない企業が多いため、将来を不安視する人も多いでしょうが、ベンチャー企業で働くメリットは非常に大きいと感じています。以下に例を挙げてみましょう。
- 社員数が少ないため、周りとの連携が取りやすい
- 小規模のため、より経営目線を持って働くことができる
- 任される仕事の幅が広い
- 時代の変化に応じた最新の技術やビジネスモデルを肌で感じられる
- 事業方針に対する決断が早く、スピーディーに仕事を進められる
- 会社の業績や個人の実績によって、高給やストックオプション等の報酬が得られる
- 将来的に役職者を任される可能性が高い
幅広く経験が積める
ベンチャー企業は規模が小さい会社が多いので、いずれも従業員数が少ない成長段階にある企業ならではのメリットと言えるでしょう。若くして昇格するケースも珍しくはありません。
新興のベンチャー企業の場合には、20代で役職につく方も多く、若い頃から経営に携わる立場で働く方も多いものです
裁量の範囲も広く、事業計画を自分で考え、実現に向けて進めることを経験できるのもベンチャー企業ならではの特徴と働くことのメリットです。
若くして経営に近い部分で働けることにより、短期間で自身の成長を実感でき、大手企業とは違った様々な経験を積めることでしょう。
新しいことを取り入れる環境
また従来型の労働プランを採用していないベンチャー企業なら、キャリアや勤務時間などをこれまでと違った視点で判断して働けるようになるかもしれません。
フットワークが軽く新しいことを取り入れやすい環境になる傾向があるため、会社によっては近年の待遇改善などへの期待も反映させていく可能性も高くなっています。
柔軟な働きかた
ベンチャー企業への転職では、以下のような多くの観点に順位をつけながらも、バランスよく取り組むことが、今後のキャリアを考える上で必要になります。
- 私服勤務やフレックス
- 長期休暇などといった待遇面
- 働く環境の快適さや収入
- 社内のポジション
ストックオプション
ストックオプションとは、株式会社の従業員や取締役が、あらかじめ決められた価格で自社の株式を購入できる権利のことです。 あらかじめ決められた価格は、権利行使価格と呼ばれています。
ストックオプションの権利を持つ者は、権利行使価格で購入した会社の株式を、会社の株価が上昇した時点で売却し、利益を得ることができます。権利行使価格と上昇した株価の差額が利益となるわけです。
ベンチャー企業でストックオプションを導入している会社は、とても多いです。これから株価が上昇するであろう成長途上の会社の方が、成熟した会社よりも導入する意味が大きいからです。
メリット
ストックオプションには、次のようなメリットがあります。
- 会社の業績が上がり株価が上がれば、自分の利益につながる(=成功報酬)
- 在職中のモチベーションアップ
- 優秀な人材が集まって来る(集まりやすい)
- 利益を得るまで頑張ろうと考えるので、人材が流出しづらい
ストックオプションはつまるところ成功報酬なので、「頑張ったら頑張っただけ当選確率とスピードが上がる宝くじ」という表現をする方もいます。 働く立場としては、やっぱり夢がありますよね。
注意点
もちろん、ストックオプションには注意点もあります。株価が下落してしまった場合は期待していたほどの収入が得られないリスクがあります。
なによりストックオプションは、会社が上場してはじめて効果を発揮します。 ストックオプションに魅力を感じてベンチャー企業への転職を考えている方は、この点を忘れないようにしましょう。
その企業のビジネスモデルや代表者の考え方に共感できて、将来上場するまでこの会社で頑張ることができそうだと思えるなら、ストックオプションを会社選びの一要素として考えるのもよいかもしれません。
しかし、初めから過度な期待をするのは禁物です。日本では、ストックオプションは総発行株式のうちの10%程度といわれており、会社創業当時からの在籍社員であっても持ち株比率は1%以下とされています。
ベンチャー転職で想定されるデメリット
今度は、ベンチャー企業のデメリット(大手企業の方が良いところ)を確認してみましょう。
- 企業としての安定感は低い
- 必ずしも収入が上がるわけではない
- 事業規模がまだ大きくないため、仕事のスケールが必ずしも大きいとは言えない
- 残業ルールはないに等しく、残業が常態化しているケースも
- 福利厚生や教育体制など、制度面が整っていない会社も多い
ベンチャー企業に転職した場合に、年収が下がるケースは珍しくありません。なぜなら、年収を下げてもやり甲斐を優先したいと考える方が一定数いるからです。
また、大手企業の年功序列型の給与体系から、ベンチャー企業で採用されていることの多い成果型・能力型給与体系へとシフトするためです。
ボーナスをもらえなくなるケースも珍しくはありません。固定給ベースで給与を支払う会社がベンチャー企業には多いからです。
夏や冬と定期的にボーナスが出る形の給与体系を採用している大手とは違い、ベンチャー企業の場合には、業績に応じた賞与を社員に付与するスタイルを取る会社も多くなります。
これは利益目標を達成しているときには何も問題ありませんが、会社の業績に応じて昇給だけではなく、減給が生じる可能性もあるのがベンチャー企業の特徴です。
自分の努力が昇給という結果に反映される反面、結果を出せない場合には減給の可能性もあることを念頭においておくことが必要です。
大企業からベンチャー企業への転職時には、自分の生活スタイルを見直し、転職による収入減が生じても問題がないかを見極めておくことが大切です。
もちろん、選考やオファー面談の段階で年収シミュレーションを必ず確認するようにしましょう。もちろんエージェント/コンサルタントを通して聞いていただければ大丈夫です。
ベンチャー企業への転職を検討しているなら、まずはご相談ください!
コアスキル重視なら大手よりベンチャー
そんな状況下で、これからのビジネスパーソンに必要なのは、どこにいっても通用する「コアスキル」を身につけること。
その会社でないと活かせない知識やスキルではなく、業界や業種が変わっても使える、汎用性のあるスキルです。例えば、
- 新規事業を立ち上げ、自分で事業を運営するスキル
- スタッフを束ねてプロジェクトを推進するスキル
- 自身の裁量で決断し、ビジネスを推進する経験
などが挙げられます。これらを身に付けやすいのは、圧倒的にベンチャー企業です。
大企業はある程度レールが決まっているうえ、業務の範囲も限られていますが、ベンチャー企業では社員一人ひとりが広い範囲を担当して自走し、仕事を創り出すことが求められます。
そこには、当然ながら経営目線が必要になりますし、全体を俯瞰で見て細かい戦略を考えていく力も重要。 これらの力は、たとえ勤務先が変わったとしても、必ず活かすことができます。
もちろん大手には大手の良さがありますが、コアスキルを磨くことを考えたら、若いうちにベンチャー企業で経験を積むことをお勧めしたいですね。
大手企業では少ない経営者との距離が近い場合も珍しくなく、自分より経験豊富な経営層の考えや、仕事の進め方を間近で学べる点も魅力です。
ただし、誤解しないように気を付けるべきポイントがあります。それは、「裁量権」について。
若手に裁量権があるのはベンチャーの常識
ベンチャー企業に関心を持たれている、特に20代の若手の方に、その企業のどこに魅力を感じているのかをうかがうと、「若手でも入社してすぐに仕事を任せてもらえる」「会社自体が急成長している」といった解答が返ってくることが多くあります。
間違ってはいないのですが、これは大きな落とし穴です。大手企業とベンチャー企業の“若手に与えられる裁量権の違い”について見てみましょう。
大手企業の場合
そもそも、大手企業とベンチャー企業では、仕事の規模や金額が違います。大手企業が抱える案件は、常に莫大な金額が動いています。
つまり、何か問題が起こったときのリスクも大きい。 ですから、入社したての若手社員に仕事の全てを任せることはなかなかできません。
ベンチャー企業の場合
しかしベンチャー企業は、大手企業に比べると仕事の規模が小さいので若手社員にも任せられます。これがベンチャー企業の方が大手企業よりも早い段階で「裁量権を持たせてもらえる」理由です。
よく「他社では1年かかるところを、3か月でひとり立ちさせます」などという謳い文句で採用活動をしている企業があります。
ベンチャー企業であれば、その企業に限らずどの企業でも同じことがいえます。
「急成長企業」の真意
設立して間もないベンチャー企業は、そもそも成長し続けていなければ会社を保つことができません。「新規事業に携われる」という点も同様です。
ベンチャー企業が成長し続けるためは、「新規事業」を積極的に行わざるを得ないのです。一見魅力的に見えるこれらの謳い文句は、ベンチャー企業にとっては当たり前のこと。
「裁量権を持たせてもらえる」「急成長を間近で見ることができる」という理由だけでその企業への転職を希望しているのであれば、一度立ち止まって考えることをおすすめします。
ベンチャー企業で成功する人の特徴
自分から学習する意欲を持っている
ベンチャー企業で成功する人の特徴として、自分から学習する意欲のある人ということが挙げられます。
特に設立から期間が浅い企業の場合、教育体制やマニュアルが整っていないことが多く、自分から聞きにいかなければ何も教えてもらえないという場合もあり得ます。
そのため、教えられたこと、与えられた仕事だけをこなすのでは、ベンチャーでは成功しにくいでしょう。
待遇や給与などにこだわりすぎない
また、転職後の待遇や給与面、職場環境などにこだわりをもちすぎない人もベンチャー企業で成功しやすいといえます。
というのも、あまり転職先企業に自分にとって都合の良い条件を求めすぎると、転職後のギャップでやる気を失ってしまう場合がよくあります。
もちろん、仮に転職後すぐの待遇はあまりよくなくても、その後の仕事の業績やキャリアによって改善できる場合もあります。
後半でくわしくお話しますが、注目するべきは3年後の年収なので、すぐ目の前のことだけにとらわれすぎると、判断を誤ってしまうかもしれません。
転職する理由が明確
転職する理由が明確かどうかも、その後の成功の鍵を握ります。これはベンチャーに限ったことではありませんが、転職の際に大事にしてほしいのは、転職をする理由や目的です。
あえてベンチャー企業に転職するならなおさらのこと、
- 転職する理由はなにか
- 転職後に自分はどんなスキルを身に着けたいのか
という具体的な目的意識をしっかり持ちたいところです。ベンチャー企業の場合、チームではなく1人で1つの仕事を回すこともあり、自分で考えながら仕事を進めていく必要があります。
そのため、目的意識がしっかりない場合や曖昧な理由で転職をした場合、「なんで自分はこんなに大変な思いをしているのだろうか?」と、またすぐに転職を考えるようになってしまう可能性が高いです。
もちろん、そうなると誰も幸せにならないので、そういったミスマッチを防ぐためにも、「プロの転職」ではコンサルタントが、面談の際によくよくヒアリングをさせていただいています。
アドバイスをもとに自己改善できる
上司や同僚のアドバイスを真摯に受け止め、改善できる人もベンチャー企業では成功しやすいと言えます。
先ほども説明したように、ベンチャー企業の場合は、1人で1つの仕事を回すことも多く、失敗をしてしまうこともあります。
その際に、冷静になって考えることができなければ、最後まで仕事を成し遂げることが出来なくなってしまうからです。
逆に冷静になり、周りからのアドバイスを真摯に受け止めることができれば、自分のどこがいけなかったのかを見つめなおし、改善していくことができます。
同じ失敗を二度しないという気持ちが強い人ほど、ベンチャー企業では成功する可能性が高いのです。
ハングリー精神がある
さらに、ハングリー精神があるかどうかもベンチャー企業での成功に関係してきます。「チャレンジ精神」とも置き換えられるでしょう。
精神論の話ではなく、ベンチャー企業で働く場合、マニュアルがしっかりある大手企業で働くのと違い、困難やリスクがあります。 なかには、仕事そのものをゼロから作り上げていく事も。
そのため、自らチャレンジし、追い求める気持ちがある人(いわゆる「自走」できる人材)でなければ続けていく事は難しいという考えのもとで、面接でも「やる気があるかどうか?」を重点的にみられる場合が多いのです。
ですから、その仕事に対して意欲が高く、がむしゃら且つ効率的に仕事ができる人が成功する可能性が高いのです。
ベンチャー企業へ転職して後悔するケース
ベンチャー企業へ転職する人の多くは、やりがいや好待遇を求めています。これは現状に何かしら解決できない不満がある証拠であり、そのために明るく前向きなイメージを持つベンチャー企業に惹かれるのです。
しかし、ベンチャー企業に転職したことによって、今までの生活ではあり得なかった不満や後悔を感じてしまうケースは珍しくありません。
収入と生活レベルの低下
ベンチャー企業への転職で最も多く見られる後悔として、収入の低下とそれに起因する生活の不安定化があります。
ベンチャー企業はこれから成長する企業であることを理由に、個人の頑張りによって給料がどんどん上がるということをうたい文句にするケースが多いです。
もちろんベンチャー企業に限らず大手でもどの企業でも、どんどん成長したいと願っていることに間違いはありません。
本当に順調な成長を遂げるベンチャー企業もありますが、中には当初の想定通りにはいかない企業も少なくありません。
成長が見込めないベンチャー企業で給料がアップすることは難しく、逆に給料が減ったりボーナスがカットされたりするなど、収入が大きく低下することがあります。
その結果、生活の質を保つことが困難になり、場合によっては困窮した事態に追い込まれる可能性もあるのです。
会社・業務の将来性
転職を後悔したケースで収入面の問題に次いで多いのが、業務の将来性です。ベンチャー企業の多くはビジネスチャンスをつかむために、ほかの企業が介入していない分野での業務をおこなっています。
しかし、その分野が十分な利益をもたらす市場として確立するかは未知の領域です。判断を誤ると重大な損失を被るだけではなく、企業組織の維持すら困難になります。
自身のキャリアアップを目指して転職したのに、新しい職場がなくなってしまうトラブルに巻き込まれるのは大きな災難です。
ベンチャー企業は今までにないビジネススタイルや新しい市場を開拓するイメージがあるので魅力的に思えるでしょう。
しかし実際は、会社組織の維持と従業員の暮らしを支えるための利益を生み出すのが目的である点は既存の企業と変わりません。
その点を理解しないでベンチャー企業に転職すると、後悔する羽目になってしまいます。
責任の重さ
仕事に従事する人は誰でも責任を背負っていますが、中でも一定以上の役職の人には非常に大きな責任がついて回ります。 大きな仕事を任される反面、負うべき責任も大きくなりますよね。
ベンチャー企業も仕事に対して責任が生じる点は同じですが、会社組織の規模が小さい分、転職したての中途社員にも大きな責任が生じることは決して珍しいことではありません。
「仕事にともなう重い責任を負うのが嫌でベンチャー企業に転職したのに、余計に大きな責任を負う立場になった」というケースも、転職絡みのトラブルとしてよく見られます。
内定を取るための面接の注意点
ベンチャー企業への転職を考えるときには、大企業を志望するときとは違う視点で準備を整えることが大切です。
大企業の場合
大企業では企業理念への共感や事業内容に対する理解、実際に従事する職務内容に関するイメージやその職務内容に対して自分が貢献できるポイントを押さえておくのが重要になります。
面接も複数回に分かれていることが多く、人事担当者やその上司が大局的な視点から面接をおこない、その後に専門職に特化した面接が実施されるのが通例です。
しかし、ベンチャー企業の場合には1回限りということも珍しくなく、2回ある場合でも構成が異なる場合が多くなっています。
ベンチャー企業の場合
ベンチャー企業では従業員数が限られているので大企業のように職務の細分化をするのが困難です。
現場の規模が小さいのでひとつ屋根の下で働く形になりやすく、現場でのコミュニケーションが重視されています。
そのため、採用面接には最初から社長自ら登場する場合や、その前に現場にいる様々な職種の人たちとの面接がある形が一般的です。
特に現場の人に実際に会ってもらって、同僚として受け入れたいかを判断してもらうケースが多くあります。
その場合、質問の内容に適切に答えていくだけでなく、良い雰囲気を作り出して同僚として受け入れてもらいたいという気持ちを持ってもらうことが重要になります。
一方、社長や重役との面接では専門的な能力が高いこともさることながら、幅広い業務に積極的かつ柔軟に取り組む姿勢があるかを問われる傾向があります。
例えば、営業のみに特化するといったケースは少なく、営業もしつつ広報も担うといった形で複数の業務を兼任することは珍しくありません。
限られた時間を有効活用して幅広い業務をこなしつつ、自分からこれをやった方が会社のためになるというものを見つけ出して積極的に取り組んでいくことが求められます。
その意欲があることを示しつつ、意欲の源泉となるモチベーションがどこにあるかをアピールして社長から共感を得るのが肝心です。
共通した大切なポイント
ただし、ベンチャー企業と大企業で共通する点もあります。
なぜ転職を思い立ったのか、前職を辞めた理由は何かといった転職の動機については、あなたがどのような人間かを推し量る上で欠かせないものなので、同様の質問をされるでしょう。
また、専門職の場合には知識やスキルがあるかを、過去の職歴との関係から説明するように求められるのが通例です。
このような基本的な準備を整えるのを前提として、ベンチャー企業が持つ視点からも対策を立てておくのが内定を得るためには欠かせません。
面接で見た目が相手に与える影響は?内定に近づくポイントを解説
転職先の候補企業で見るべきポイント
面接の場に限らず、転職先候補のベンチャー企業で見るべき本当に大事なポイントは、この2点だけです。
- 社長
- 会社のビジネスに将来性を感じ、共感できるか
非常に大切なことですので、詳しく見ていきましょう。
社長を見る
「人」に魅力を感じて入社を希望するケースに覚えのある方も多いのではないでしょうか?
「採用の面接をしてくれた社員が魅力的だったから一緒に働きたいと思った」という理由ですね。この理由もまた、入社の決め手としては少々危険です。
ベンチャー企業でよくあるのが、一緒に働きたいと思っていた社員が、自分が入社をした直後に退職してしまった、というケース。
大手企業と比べると、ベンチャー企業の社員は自身のスキルアップのため、もしくは独立して事業を立ち上げるために、早々に転職をする可能性が高いのです。
社内の雰囲気を掴んだり、社員のモチベーションを知ったりという目的で「人」を見るのは良いですが、社員一個人への依存は避けたほうが良いでしょう。
先ほど「ずっと生き残り続けるベンチャー企業を選ぶのは不可能」とお伝えしました。
「人」という点でいうと、「より自分に合ったベンチャー企業 = コアスキルをより磨きやすいベンチャー企業」を選ぶ方法はあります。
それは「社長を見る」こと。ベンチャー企業が成功するか否かは、社長にかかっているところが大きいからです。
社長の考え方は社風にあらわれますし、ベンチャー企業は社員が社長と近い位置で仕事をすることが多いので、
- 社長が強い志、事業ビジョンを持っているか
- 社長の考え方に共感できるか
- 企業のビジョンと自分が同じ方向を向いているか
- 自分が本当にやりたいことがその社長のもとでできるか
この4点は、必ず確認しましょう。社長の考え方や企業の理念は、よほどのことがない限り変わりません。 これにあわせて、
- 自分の利益だけでなく社員を大切にする気持ちを持っているか
- 社長自身が数字に強いかどうか
この2つもチェックしておくと良いでしょう。 社風が合うかどうかを判断するには、社長を見て、このように細分化したポイントで判断することをおすすめします。
会社に将来性を感じ共感できるか
そして、「会社のビジネスに将来性を感じ、共感できるかどうかを確認する」こと。
社員の多い大企業に比べて、ベンチャー企業で働く社員は少ないものです。 立ち上げて間もない企業では、いち社員であっても主体性を持ってビジネスに深くコミットすることになります。
そのため、ビジネスに心から共感でき、強い想いを持って臨めるかどうかを冷静に見極めることは、モチベーション維持の側面からも何より重要です。
ちなみに企業側も、人材採用の際に「この人は当社のビジネスに共感しているかどうか」を最も見ています。
仕事にある程度ルールが決められ、事業範囲も限られている大企業に対して、ベンチャー企業では社員一人ひとりが自走して、自ら仕事を創り出していくことが求められます。
これは企業の事業内容に心から共感していないとできないことです。今の仕事より高い給料、良い待遇を求めて転職先を決めることももちろん大切です。
しかし、自分は転職先企業の事業内容に熱意を持って取り組むことができるのか、冷静に考えてみることも大切です。
「自分だけでは見極める自信がない」という人は、転職エージェントをうまく活用してみてください。
転職エージェント経由で採用活動をしているベンチャー企業は、高いフィーを支払っているので、人材採用にかける思いが強いのが特徴です。
逆に「怪しい会社」はこの時点で排除されますし、転職のプロによる客観的な意見も役立ちます。
「現場の社員に会って判断したい」「オフィス訪問をしたい」「もっとカジュアルな雰囲気で話がしたい」などの要望も、エージェントが間に入ればスムーズに交渉可能です。
ベンチャー転職に興味がある方はご相談ください!
転職することで何を達成したいのか?
先にもお話しましたが、転職の際に大事にしてほしいのは、
- 転職でなにを得たいのか
- なにを成し遂げたいのか
の2つです。これが固まっていない人は、ベンチャー企業に行っても主体的に動けませんし、モチベーションも維持できないでしょう。
「3年後、5年後、こんな自分になっていたい」という明確な目標があれば、「だからこの会社に行って○○をやりたい」と企業選択の理由も明確になります。
そういう人なら、ベンチャー企業で力を発揮し、揺るぎないコアスキルを身につけられるはずです。日本の将来を明るくするのは、ベンチャー企業だと思っています。
優秀な方々にどんどん挑戦していただきたいですね。
収入だけでなく何が身につくかを大切に
年収と働き方
「うちに来たらこんなに稼げるよ」と、やたらと高収入をアピールする企業もあります。そのような企業は、離職率に着目してください。
もし離職率が高ければ、それだけ仕事が厳しいということです。高収入の企業は、コミッション制(歩合制)であるケースが多く、とにかく高いレベルの結果を求められます。
そして結果が続かなくなると、当然辛くなります。どんな業界へ転職するにしても不安はつきものです。
例えば、誰もが知るような大企業からベンチャー企業に転職するとなると、収入や働き方などもかなり異なるため、不安に感じることはたくさんあるでしょう。
たしかに、ベンチャー企業というと会社自体に勢いがあって、新規事業に取り組めるイメージを持つ方が多いです。
しかし、それは言い方を変えると事業が始まってからの歴史が浅く、事業規模もまだ大きくないということになります。
コアスキルを身に着けられるか?
もちろん、こうした企業が“良くない”ということではありません。「とにかく稼ぐ」ことを目標にしている方には合っています。
ただしそれでも、「その企業で何が身につくのか」は理解しておくべきです。コミッション制という環境で働くことに疲弊し、いずれまた転職を考えるようになるかもしれません。
そして次に転職を考えるときには、すでに現時点よりも年齢が上がっています。ポテンシャル採用がかなう年齢はとっくに過ぎている可能性もあります。
同額の給与で転職を成功させるためには、他社で必要とされる「コアスキル」を身につけられるかどうかが鍵となるのです。
3年後の年収に着目する
それから、月給を記載している企業の場合、「スタート時の月収が高い」というメリットにも気をつけてください。 この情報に踊らされてはいけません。見るべきポイントは3年後の年収です。
当然、賞与の有無も大きく関わってきます。 賞与の支給が業績に応じて変動する企業の場合、たとえ月収が高くても、年収で換算すると意外と少なかったということがあり得ます。
また、昇給額が極端に少ないケースもあります。転職してすぐの収入アップを期待していると後にがっかりしてしまうこともあります。
転職後に後悔しないために、長い目で自分の年収モデルを見極めておくことがとても大事です。
入社数年後に「年収が変わっていない」と後悔することがないように、入社前にしっかり見極めることが大切です。
離職率や数年後の年収モデルなどを自身で調べることが難しければ、私たちのようなキャリアコンサルタントに相談するのも良いでしょう。
エージェント/キャリアコンサルタントは、その企業の求人情報や入社時の年収だけでなく、昇給の制度や年収の相場などについても詳しいはずです。
そこで本当にやりたいことができるか?
いずれの場合も必要なのは、「自分がやりたいこと」が本当にその企業でできるかどうかを考えること。ベンチャー企業とひとくくりにいっても、さまざまな企業があります。
甘い言葉に惑わされずに、その企業がご自身の転職の軸に本当に合っているかどうかを今一度考えてみましょう。
そしてもうひとつ大切なこと、それは【市場価値の高い人になる】ということです。残念ながら会社の規模や年収の高さは、必ずしもその人の市場価値とイコールではありません。
どんなときも市場で求められる価値の高い人でいるために、自信を持って「コアスキル」と言えるスキルを磨き続けましょう。
私たちプロの転職では、企業の採用担当者だけでなく、社長や現場の社員の方々ともお付き合いさせていただくケースが多いため、外からは見えない社内の雰囲気や働き方などもお話しすることができます。
ご自身で気になる企業を調べることが難しいと思ったら、ぜひご相談にいらしてください。
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