by小野進一
CM制作会社の年収はいくら?気になる年収を業務内容と共にご紹介
CM制作会社の業務内容や仕事の流れ、気になる年収について紹介します。
「CM制作の詳しい業務内容は?」「どのような流れで仕事を行うの?」「もらえる年収はいくら?」といった疑問に答えていきます。広告業や他業種からの転職、新卒での入社を望む方にぜひ見てもらいたい情報をご紹介します。
目次
CM制作会社の仕事内容
CM制作会社の仕事は、広告代理店が考えた企画をもとに、演出プランを練り制作します。広告プロモーションに関連した映像を制作することがメインとなっています。
請け負う仕事はテレビCMの制作だけでなく、最近ではYouTubeをはじめとしたネット広告向けの動画や会社案内、大学や専門学校などの教育機関、さまざまな案内動画、商品・サービスの紹介動画、ミュージックビデオの制作などと多様化しています。
映像制作に当たり、広告代理店と企画の内容を詰め、動画を活用する媒体や目的に合わせた映像を制作していきます。
つまり、CMを企画するのが広告代理店、CM企画を具現化するために演出・制作をするのがCM制作会社ということです。
CM制作・仕事の流れ
CM制作会社がCMの仕事を受けた場合には、どのような過程を経て映像は作られていくのでしょうか。 CM制作会社は、一般的に次のような流れでCM制作を行います。
まずは、制作を依頼したクライアントへのヒアリングです。
ヒアリングは、基本的には広告代理店が行う業務ですが、制作面は代理店を通さないケースや複数の会社と競うコンペなどに参加する場合、広告代理店はCM制作会社もヒアリングに参加してもらいます。
クライアントの要望をその場で聞いて、広告代理店と協力してCMプランを企画するための情報を収集する大事なステップです。
プレゼン
企画書の完成後、企画をクライアントにプレゼンテーションを行います。
その内容は、CM映像の企画意図や撮影方法・撮影場所、キャスティング、予算、スケジュールを提示し、完成したものを想像してもらうために、絵コンテや動画コンテで、説明していきます。
クライアントから正式な制作発注がきたら、次はいよいよ撮影です。
撮影を行う場所は企画内容に従って、スタジオ内にセットを組むとか、屋外での撮影になることもあります。
企画によっては、撮影場所として海外が選ばれることもあります。
撮影は、企画意図に合わせて映像パターンを複数撮影し、商品やサービスの価値を伝えるのに良い映像を、後で選択するために、いくつかのパターンを行います。
撮影が終わると、映像の編集(仮編集)を行い、クライアントへの試写を行います。
この段階で、クライアントに内容の良し悪しを判断してもらい、変更や修正点などがあれば、クライアントや広告代理店と認識のすり合わせを行い検討していきます。
仮編集と試写の次は、いよいよ仕上げの本編集となります。
試写で指摘された箇所を修正し、その映像にテロップ、必要であればCGなど加えていきます。その後、映像に収録されたサウンドの音量・音質の整理、音楽、効果音、ナレーションなどのMA作業を行い、完成させていきます。
完成したCMは、完成試写でクライアントに見せ、了承をもらい正式納品となります。
CM制作の枠を超えた仕事もある
CM制作会社では、CMなどの映像制作のほかに、関連する仕事も請け負っています。
例えばCMの企画そのものです。 CMの企画は本来、広告代理店の役割とされています。
クライアントの要望を聞いて、映像にするための企画案を作成するのですが、CM制作会社の中には独自に企画の立案や提案までも行う会社も存在します。
つまり、広告代理店を通さずにクライアントと直接交渉し、企画やアイデアを提案、そして映像を制作する会社です。
しかし、CM制作を依頼するときは、ほとんどが広告代理店を通します。これは、広告代理店が、テレビなどのメディア各社のCM枠を買い取っていることが理由と言われています。
どれだけ素晴らしいCM映像を制作できても、CMとしてメディアに流れなければ、ターゲットに伝わらないからです。
そのため、広告枠を持っている代理店に放映するCM枠の確保と映像の制作の両方を発注しているのです。
このような背景から、クライアントから直接依頼を受けるCM制作の数は少なく、多くは広告代理店を介しての受注となっています。
CM制作では広告代理店をコンペで選ぶ
企業がCMの制作を依頼する場合、通常はいくつかの広告代理店を集めてコンペを開催します。なぜ、企業はコンペを行うのでしょうか。
それは、複数の提案から商品やサービスの魅力を引き出し、売り上げにつなげることのできる一番良い企画を選ぶためです。
一方、参加する広告代理店とCM制作会社は、コンペに勝利すれば、CMの仕事を受注できるため、コンペを勝ち取るためにより良い映像を作ろうと全力で仕事に取り組みます。
このように、CM制作のコンペは、仕事を発注する側、受注する側の双方にメリットがあり、CM制作会社は広告代理店と手を組み、コンペという選考の段階から仕事を始めていくこともあります。
CM制作会社で得られる年収
CM制作会社に勤めると、どのくらいの年収を得られるのでしょうか。ここでは、プロダクションマネージャー、ディレクター、プロデューサーに絞って、それぞれの年収を調べてみました。
プロダクションマネージャーを務める方の平均年収は340万円ほどです。
プロダクションマネージャーとは、CM制作の現場で、プロデューサーのアシスタントの役割を担います。(ディレクターのアシスタントは、制作部のADが担当します)
プロダクションマネージャーとは、CM制作の現場で、プロデューサーのアシスタントの役割を担います。アシスタントという位置づけのため、当然ながらプロデユーサーに比べると年収は低く設定されています。
仕事の内容は、CM制作の進捗管理、予算管理、スタジオやキャスティングの手配、撮影現場や楽屋の取り仕切り、弁当の発注など業務内容が多岐にわたるのが特徴です。
年収に比べて、仕事量が多いと思われるかもしれませんが、CM制作の全体を指揮する立場を目指すならば、通らなければならない役職です。
プロダクションマネージャーを任せられると、表に出ないCM制作の裏側を学ぶこともできますし、経験を積み実績が認められれば、プロデューサーへの昇格もありえます。
ディレクターは、映像制作の現場で演出として完成までを取り仕切ります。
気になる年収は、平均344万円ほどで、プロダクションマネージャーよりも、わずかに高い年収です。
ディレクターの仕事は、CM制作の現場でカメラマンやライティングディレクターに指示を出しながら、制作の指揮を取る役割を担い、絵コンテの制作、CMの構成・撮影ディレクション・オーディション・編集などを行うCM制作の総責任者です。
プロダクションマネージャーと同じように、その業務は多岐にわたりますが、給与は低く民間企業のサラリーマンの平均年収は、約443万円(令和2年国税庁調べ)、と比較すると、プロダクションマネージャーと同じく、一般の人の給与水準には及んでいません。
ただし、低い人で年収280万円ほど、高い人で600から700万円ほどの差があり、採用時の年収の幅を300万円前後から600万円と定めている会社もあります。
会社の経営状態や、本人の経験年数・実績等によって大きな差が出ていると思われます。
気になる年収は平均値で423万円ほどでした。ただしこれも、低い方では300万円ほど、高額になると1,000万円を超える方もいます。
プロデューサーは、映像制作の全体を指揮する役職です。クライアントや広告代理店からの要望をヒアリングし、CM制作の進捗管理、スタッフの配置やロケーションの立ち合い、編集や録音スタジオへの立ち合いなどを行います。
立ち合い中に、自身の判断でディレクターに適切な指示を行うこともあります。
また、プロデューサーは撮影現場ではクライアントと広告代理店の窓口業務も行い、予算管理も含めCM映像制作のすべてを管理する業務を行います。
なぜ年収の額には、このように数百万円以上のひらきが見られるのでしょうか。
これは、プロデューサーの評価が業界や世間に広まると、クライアントや広告代理店からの発注がさらに見込めることから、年収も上がると言われています。
そのため、プロデューサーの中には、1,000万円を超える年収の方も存在しているのです。
プロデユーサーは、撮影現場以外では、CM制作会社の営業職という位置づけでもあります。
映像制作の現場を希望するなら、広告代理店よりもCM制作会社
広告代理店が行う業務は、CMの企画・立案までです。CMの映像を撮影し編集して完成させる現場仕事は、CM制作会社が行います。そのため、将来は自分が指揮を執りCMを制作してみたいと考えている方は、CM制作会社への転職し、プロダクションマネージャーなどを経て、プロデューサーへの道へと進んでいきましょう。
まとめ
CM制作会社は、主に広告代理店を通じてCMの映像制作を手掛けますので、広告代理店との関わりによっては、会社の収益や社員に支払われる給与にも多少影響が及びます。
これからCM制作会社に勤める方は、広告代理店との関係も重要であることを認識しておくことをおすすめします。
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