by小野進一
【グロースハッカー】とは?仕事内容と必要な能力から年収、転職事情までを完全解説
グロースハッカーとは、2010年にアメリカQualaroo社のショーン・エリス最高経営責任者が提唱した職種の名称で、IT企業のメッカである「シリコンバレー」を中心に広まりました。
IT業界の職種のなかでも最先端で、これからの時代にますます重要かつ必要とされるWebマーケティングに関する職種となることでしょう。
グロースハッカーは、ビジネスを継続的成長に導いていくプロフェッショナルであり、場合によってはたった1人でウェブサイトを活用して、大量のユーザーの獲得、大幅な売上の拡大などを成し遂げるという非常にやりがいのある魅力的な職種です。
グロースハッカーの仕事の内容や必要とされる能力・知識、および気になる年収について解説します。
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目次
グロースハッカーの意味と仕事の内容
グロースハッカー
グロースハッカーは、英語のGrowth(成長)とhacker(技術的知識を利用して課題を解決する人)をつなげた造語です。
製品やサービスなどについて、技術的な知識を用いて費用をかけずマーケティング上の課題を解決し、新たな方法で効率、生産性を上げ、企業・ビジネスの成長を加速させ、成長を継続させる仕組みを作る人(チーム)のことです。
別の言い方をすると、グロースハッカーとはターゲットマーケットへのマーケティングに熱い情熱を持ち、活動の目標には成長することに責任を持ち、急成長できる仕組みを考えてすべての施策を実施する人のことです。
具体的には、マーケティングの問題点を探り出し、解決のために優先順位を付けてスピーディに改善を重ね、施策を重ねて解決をしていきます。
そのため、グロースハッカーが行う施策は通常のマーケターよりも、結果の早いレスポンスが出せるデジタルマーケターであることが特徴でもあります。
急速に成長した世界的なウェブサービスのFacebook、Twitter、Dropbox、Uber、Airbnbなど数多くの成長を支えたのが「グロースハッカー」でした。
これからのWebマーケティングにとって重要で花形の職種といえるでしょう。
3つのポイントと仕事内容
ポイント
グロースハッカーの仕事の重要なポイントは以下の3つです。
-
.製品やサービスの成長を目標とする
-
ユーザーの声やアクセスデータによる分析に基づいて仮説を立て検証することを重視する
-
マーケティングだけでなく製品やサービスの開発も考える
このポイントを満足させるためにグロースハッカーは次の仕事を行います。
-
市場のニーズに合致したサービス・製品を考える
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あらかじめサービスのなかにPV向上などができる仕組みを埋め込む
-
口コミによる情報の拡散を図る
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現状を計測する
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データを分析して対策のための仮説を立てる
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デザインやコンテンツの見直しなどを行う
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優先順位をつけて効果的な課題から取り組む
-
PDCAサイクルを高速回転させる
-
トライアンドエラーを繰り返し、新たに成果を得られるような手法を創造する
具体的な仕事内容
グロースハッカーの仕事はさまざまですが、例えば広告の最適化をする業務の場合は、ウェブサイトへの閲覧・検索履歴、コンバージョン履歴などのデータを分析、どのように改善すれば広告の効果を最大にできるかを検討します。
そしてそのうえで、「SEO対策」「コンテンツの充実」「ソーシャルメディアと連携」「A/Bテスト」などを実施します。
改善の結果をまた分析して、改善を繰り返しながら最適な方法を求めていきます。 Webサイトのコンバージョン率の改善の場合は、サイトを訪問したユーザーがどの段階でサイトを去ったのかを分析します。
その結果を踏まえて、改善策を検討し対策を講じるとともに、ターゲットユーザーごとに適したプッシュ通知やアプリ内メッセージの作成を検討し、ユーザーがサイトから去っていかないように考えます。
改善結果は、さらに分析して改善を繰り返します。
求められる能力と知識
グロースハッカーの役割は広く、製品やサービスの開発とITやマーケティングに関する能力と知識が必要です。
分析力・検証力
グロースハッカーは、あらゆる意思決定を勘や経験、あるいは物事の数値化できない「定性的な情報」で行わずに、数値・数量で表せる定量的なデータを分析した結果に基づいて行います。
データに基づいて分析を繰り返していきますので、分析する能力とその結果(市場やユーザーのニーズに合っているか)を検証可能な能力が必要です。
そのため、分析ツールを使いこなす知識や統計学に関する知識も求められます。
創造力・計画力
ユーザーの共感を得る施策や改善を行う必要があるため、分析や検証結果から柔軟な発想に基づき、コストをかけずに出来るさまざまな計画を立案できる能力が必要でしょう。
一般的に費用をかければ容易に実現できてもグロースハッカーは費用をかけないで、いかに価値のあるサービスを実現できるかが重要なために柔軟な発想力・創造力・計画力が求められます。
決断力・行動力・忍耐力
グロースハッカーは、失敗を恐れずに実行していく決断力と行動力が必要です。
また、失敗してもなぜ失敗したかを分析・検証して決して落ち込まずに、忍耐強く、また新たな計画を立案して実行し、PDCAサイクルを高速に回せる行動力が求められます。
知識としては、例えばWebサイトへのアクセスを集め、利用を始めてもらい、利用率を高め、さらに満足度を上げて、紹介制度で拡散し、収益最大化を目指すために必要な5つのステップ「AARRRモデル」の知識などが必要です。
「AARRRモデル」とは、商品・サービスの成長を5段階にわけるフレームワークのことで、それぞれの頭文字からネーミングをしています。
【Acquisition(ユーザー獲得)、Activation(ユーザー活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)】
ニーズ把握力・好奇心・洞察力
顧客ニーズを正確に把握し、満たすことがグロースハッカーの最初の出発点です。
ユーザーの思いに敏感でなければなりません。
どのようなユーザーがウェブサイトを訪れて、どのような情報や画像にどのような感情を持ったのかを想像し、そしてどのように変えれば、望む行動をユーザーがしてくれるのかを把握するために幅広い好奇心と洞察力が必要です。
グロースハッカーになるには?
企業の社長が、会社経営に関して財産と信用をかけて全責任を負うように、Webサービスの運用に関しては、全責任を負って行うという強い意識があれば、立派なグロースハッカーになれるでしょう。
ただし、失敗はできないのでWebマーケティングとITに関する最低限の知識は必要です。そのため、グロースハッカーを目指すならば、SEO対策やSEM 、ソーシャルマーケティングなどのマーケティングスキルと、UI/UXデザイン、プログラミングやデータベースの設計などの知識、技術力を身につけておくことが必要です。
なお、グロースハッカーには幅広い知識や能力が必要なため、1人ではなくチームでグロースハックが行われる場合は、特定のスキルがあればグロースハッカーとして能力を活かせる場合もあります。
グロースハッカーとして最も重要なことは、「どうしたら、もっと良くできるか?」と強く意識して、そのために目標を設定して考えて積極的に行動することです。
そういう意味で、与えられたことをこなすだけしかできない人は、グロースハッカーにはなれないでしょう。
推定年収
グロースハッカーはまだ新しい職種で、年収の統計データは現時点ではないため推定になってしまいますが、厚生労働省賃金構造基本統計調査の2019年度のデータを参考にするとシステムエンジニアの年収は566.3万円(平均年齢38.9歳、フルタイム労働者で役職者を除く)です。
職務の重要性や求められるスキルから、システムエンジニアと同等程度以上の年収が期待できると考えられます。
また、実際の求人を参考にすると、その方のご経験や能力次第ではありますが、現時点で年収レンジ450~1000万円、600~1200万円といった募集も散見されます。
さらにIT業界は現在も深刻な人材不足で、将来は人材不足が現状よりも、さらに拡大すると懸念されており年収増が見込まれます。
また、今後は、より成果報酬型の給与体系が強まると思われますが、グロースハッカーは数字で結果が明確に表れます。
給与にも実績が反映されやすく、大きなやりがいを持って働くことが可能です。
まとめ
最近、大きな注目を集めているグロースハッカーの仕事の内容と、必要とされる能力・知識、および年収について紹介しました。
グロースハッカーの活躍するフィールドは、世情から判断しても今後、ますます拡大していくと予想されています。
グロースハッカーになるための資格は特にありませんが、現状よりも良くしたいという強い問題意識と市場分析を冷静に客観的にできれば、優秀なグロースハッカーになれる最低条件を満たすことができます。
あとは、能力と知識を見つけていけば、時代が求めている優秀なグロースハッカーになれるでしょう。
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