by小野進一
【広告業界の職種】グラフィックデザイナーの仕事内容と年収、転職事情
広告業界のさまざまな職種を解説するシリーズ、今回は花形職種の1つである、「グラフィックデザイナー」について。デザイナー出身のディレクターが解説します。
仕事内容や必要なスキル、年収、転職事情について見ていきましょう。
目次
グラフィックデザイナーの仕事内容は?
そもそも「グラフィック」の意味は、Wikipediaにはこのように書いてあります。
出版・広告・印刷・映像・ゲームなどの媒体・コンテンツにおける視覚表現
つまり、雑誌、ポスター、パンフレット、DM、CDジャケットといった、主に紙媒体のデザイン制作を行うのがグラフィックデザイナーの役割です。
これ以外にも、新聞広告、書籍、名刺、商品のパッケージなどのデザイン制作も行います。
Webデザイナーとの違いを簡単に言えば、制作物が紙媒体なのか、ホームページ等のWebに掲載のものなのかということになります。
したがって、Webデザイナーには(コーダーなどにデータを渡すという事はあっても)あまり入稿というものがありませんが、グラフィックデザイナーは媒体ごとに異なる入稿方法を把握する必要があります。
元来、入稿とは紙媒体を制作するために、印刷所の組版部門に原稿を入れることを「入稿」と言っていましたが、現在では次の段階の作業をする人に、原稿を渡すこと入稿と呼んでいます。
そして、同じ紙媒体でも、入稿先の企業によって入稿形式が違ったりするなど、その都度入稿方法を確認することが必要です。
Webデザイナーの方に知らない用語ですが、グラフィックデザイナーが知っている用語の代表的なものに、「アウトラインを切る」「トリムマーク(やや年上の人は「トンボ」)」「illustratorのバージョン設定」という言葉があります。
グラフィックデザイナーが活躍する業界は?
グラフィックデザイナーが活躍する業界は、広告代理店、出版社、制作会社、アパレル、その他事業会社の広告宣伝部門という場合が多くなっています。
自社の広告宣伝物を制作している場合は、インハウスのグラフィックデザイナーとして、少し働き方が異なる傾向にあります。
⇒【インハウスのグラフィックデザイナー】を徹底解説! 広告代理店・制作会社との違い
グラフィックデザイナーになるために必要な資格・スキルは?
グラフィックデザイナーになるために必要な資格は、実は特にありません。
ただ、美術・芸術系の学部がある大学や、グラフィックデザイナーの専門学校などで学んだ人が、グラフィックデザイナーには多いようです。
「Adobe Illustratorクリエイター検定」「Adobe Photoshopクリエイター検定」などの検定資格はありますが、取得しているデザイナーが多いわけではありません。
基本的には、グラフィックデザインをするうえで、必須のソフトウエアである「Adobe Illustrator」と「Adobe Photoshop」を扱う知識、経験、センス、実績が求められます。
さらに、出来上がったデザインを入稿する方法として、パソコンで入稿用のデータを作成し、実際に印刷物を作成する「DTP(Desk Top Publishing)」のソフトウエア「Adobe InDesign」についても扱えるようにしておくと良いでしょう。
グラフィックデザイナーの職種の企業情報
色に関しての知識を身につけるために「色彩検定」や、色彩に関する「カラーコーディネーター検定」、そしてDTP印刷とコンピューター操作に役立つ「DTPエキスパート」などを学習し受験されることをおすすめします。では、未経験でこれらの知識や検定合格のため独学で学び、グラフィックデザイナーになれるかというと、やや厳しいのが現状です。
さらに未経験かつ中途採用で、グラフィックデザイナーに挑戦する場合、まず専門学校や通信講座でグラフィックデザインを学び、アルバイトからのスタートを覚悟して、制作会社やデザイン事務所に入って経験を積むことを優先するのが得策です。
面接では二回目が実技試験になることが多いようです。
<有名なスクール>
- 東京デザイナー学院
- 学校法人・専門学校HAL
- MACデザインアカデミー
- 東京デザイン専門学校
グラフィックデザイナーに向いているのはどんなタイプ?
グラフィックデザイナーに向いているタイプとしては、下記のような特徴が挙げられます。
- 制作・ものづくりが好きな人
- メンタルが強く、体力にも自信がある人
- 細かいところにも気を遣える人
何より大切なことは、デザインや制作、モノ作りが好きであるという事です。
また、デザイン制作にはクライアントの要望するイメージを把握しなければならないことから、コミュニケーション能力や協調性も必要でしょう。
体力勝負であることはもちろん、変化の激しい業界なので、絶えず勉強をし続けなければ第一線で仕事を続けていくことは難しい職業です。
ですから、それを実行するためには何よりもまず「好きである」というエネルギーが欠かせません。 また、グラフィックデザイナーの平均年齢は38歳前後といわれています。
センスや体力的なところもありますので、よっぽど強い気持ちがない限り、30代、40代からのチャレンジはおすすめできません。
グラフィックデザイナーのキャリアプラン、年収
最後にグラフィックデザイナーのキャリアプランと年収についてお伝えします。 平均月収は約31万円、平均年収は約430万円です。
業界全体の水準と比べると、あまりよい条件とはいえませんが、将来的にフリーランスになり大幅に年収が上がる方がいるのもグラフィックデザイナー職の特徴です。
グラフィックデザイナーとしてキャリアを積んだら、フリーランスのほか、企業に所属していれば、アートディレクターやクリエイティブディレクターになっていく方がほとんどです。
グラフィックデザイナーのまま、スペシャリストとして定年まで働く方は少数派です。
もちろんアートディレクターやクリエイティブディレクターとして、ポジションアップしていけば年収もアップしていき、いわゆる1000万プレイヤーになることも現実的な目標になりますが、グラフィックデザイナーとしてそのラインに到達するのは、かなりの困難を伴うでしょう。
【参考】【徹底解説】デザイナーで年収1000万円は目指せる!
グラフィックデザイナーについてのまとめ
グラフィックデザイナーは、自分の仕事をした成果がはっきりとわかる職業です。
それ故に、評価もはっきりとわかる、「わかりやすい」職業のひとつでしょう。
一方で、数あるほかのデザイナーとしのぎを削り、長年にわたって努力し続けることが、生き残っていくための手段となる過酷な職業でもあります。
働き方改革の影響もあり、てっぺん越え(退勤が深夜24時を回ること)をするデザイナーは減ってきていますが、華やかなイメージとは違い、決して楽ではない職業です。
近年はAIによって、簡単なロゴはものの数秒で制作されてしまうなど、改めて人間の能力が試されていますが、それだけに、作業ではない本物のクリエイティブな能力を持つデザイナーが求められています。
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