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インタビュー

byプロテンMZ編集部 プロテンMZ編集部

ブランドの役割とは?企業課題をデザインで解決する長田敏希氏に聞く

株式会社クレオでクリエイティブディレクター、およびブランドマネージャーという2つの立場でチームを率いる長田敏希(おさだ・としき)さんは大企業、中小企業を問わず、企業ブランディングに関するさまざまな領域で多くのクライアントからの支持を集めています。

今回のインタビューでは、長田さんがこれまで手掛けてきた事例を通して、今、クリエーターに求められている仕事を紐解きます。

長田敏希(おさだ・としき) 1984年生まれ。株式会社クレオのクリエイティブディレクター/ブランド・マネージャーとして、経営戦略立案から、CI、VI、商品開発、空間演出等、ブランディングに関する様々な領域で、右脳発想を重視したブランド構築ソリューションを提供。大手コンビニエンスストア、飲食チェーン、食品メーカーを中心に事業活動を行っている。また、東京農業大学で非常勤講師として地域ブランド戦略のゼミを持ち、学生、社会人、地域住民を対象にした体験・実践型の授業を行う。世界三大広告賞のカンヌライオンズ、The One Showをはじめ、D&AD、NY ADC、iF デザイン賞、グッドデザイン賞、毎日広告デザイン賞など国内外の受賞多数。

きっかけは、コンペ連敗という挫折。

弱冠31歳ながら、多くの事業責任者や経営者から信頼されている長田さん。ところが、その燦然たるキャリアは意外なことに、スタート時点で経験した、ある挫折からはじまったといいます。

「東京工芸大学の広告研究室でデザインや広告の基礎を学び、クレオに入社して最初の2年はメーカーの既存の商品のパッケージデザインを定型のポップに流用する仕事などをして修業を積みました。

ようやく新規開発のチームの一員になったのは入社3年目でしたが、参加した競合コンペで3~4回ほど連敗してしまったんです。ヘコみました。

でもそれは、仕事に臨む自分の姿勢をイチから組み直さねばならないことに気づいたきっかけでした」

自己分析した結果、それまでの自分は画像処理やデザインのクオリティを上げることに夢中になるばかりで、クライアントの企業戦略や問題解決につながる提案ができていなかったことに長田さんは気づきました。

「コンペで採用された他社のアイディアと自分のものを比べてみても、それは歴然としていました。

望まれるデザインというのは、単に見た目が美しいとか、カッコいいものなのではなく、中・長期的な目で見てそのプロジェクトや企業の方向性に合致したものでなければならない。そのためには、クライアントのことをもっと深く知らないといけない。

そんな風に自分の課題が見えてきたんです」

その後、中小企業診断士や広告業界のセミナーに参加したり、ブランディングやマーケティングに関する本を読むなどして知識をたくわえるうち、少しずつ成果を出せるようになっていきました。

相手企業とじっくり向き合うことが何よりも重要

現在、長田さんの仕事の半分以上を占めるのは、1年かそれ以上の長期間にわたって企業ブランドを構築する仕事だといいます。

中でも、優れた情報発信力を駆使して新たな顧客開拓に成功した米穀店「小池精米店」のブランド構築には、プロジェクトの初期の段階から深く関わりました。

「はじまりは『ホームページをリニューアルしたい』という依頼だったんですが、3代目社長になって間もない小池理雄さんとお会いしたとき、名刺に印刷されたロゴマークがホームページのマークと異なっていることに気づいたんです。

そこで、根本的なブランディングが必要だと考え、提案してみることにしました」

長田さんのブランディングは、経営者や現場の担当者に至る社員と1日約4時間をかけて話し合い、これからの方向性を確認し合うところからはじまります。

「小池社長と最初に話し合ったのは、3C分析について。

つまり、『自分ならどんなお米屋に行ってみたいか?』という顧客(Customer)分析、『ここなら誰にも負けないというものは何か?』という自社(Company)分析、『ここはあいつに負けているというところは何か?』という競合(Competitor)分析です。

いきなりそんな固い話から始めると、ポカーンとした顔をされてしまう恐れがあるので、ブランディングの基礎的な説明から始めることが多いんですが、小池社長はすぐに理解していろいろなアイディアを出してくれました」

例えば、「パンは買うとき楽しいけど、お米選びは価格で選んでしまっている」とか、「美味しい炊き方を教えてくれたり、ライフスタイルを提案してくれるようなお米のコンシェルジュがいたらうれしい」など、その後のブランディングに必要不可欠な重要なアイディアが次々に出てきたといいます。

また、「なりきりゲーム」と題したワークショップでは、お米の主な購買者である主婦の1日の生活パターンを洗い出し、お米を買うときの気持ちをシミュレーションして顧客を分析。

こうして集められたさまざまなキーワードをもとに長田さんが提案したブランド・コンセプトは、「産地直米、お米を楽しく」でした。

「通常、お米の流通はJAを通しますが、小池精米店は自らの足で生産者とパイプを作っているため、産地直送でお米を提供できるという強味がありました。

また、そうした製品の優位性だけでなく、お米を楽しく味わいたいという顧客の潜在意識に応えられるだけの人材も多くいたため、『産地直米、お米を楽しく』というワードに結びつきました」  

ワークショップでは、質問への答えを付箋に記入して貼っていきながら行われました。 お茶とお菓子を用意して、ざっくばらんな雰囲気にすることも重要。

 

    • 産地直米(製品優位性から抽出)
    • お米を楽しく(顧客の潜在意識から抽出)
    • 生産者と生活者の架け橋になる(理念・ビジョンから抽出)

http://asahimatsuhikari.com/  

小池精米店のホームページには、ブランド・コンセプト「産地直米、お米を楽しく」が大きく掲げられています。


ツヤ、香り、食感など十人十色ならぬ、四十七都道府県、四十七色の特色を持つお米(農家)の個性を、グラデーションにより体現した小池精米店のロゴマーク。

 

あきたこまち(秋田)、ササニシキ(宮城)、ひとめぼれ(岩手)、まっしぐら(青森)、つや姫(山形)、コシヒカリ(福島)の頭文字を生かした詰め合わせ贈答品「あさひまつ光」のパッケージデザイン。各ブランドのお米をそれぞれの県の形にして表現している

コンペ3連敗という挫折に負けず、そこから自ら学んだ「今求められているデザイン」。

長田さんは今や、広告デザイナーという枠を飛び越え、ブランド・マネージャーの職域にまで活動の場を広げています。  

「お客さま、会社、社員」の結びつきを強めるのがブランドの役割

競合コンペでデザイン案が採用されたとしても、一時の付き合いで終わってしまえば、それは本当の意味での評価とは言えないのではないかと自問した結果、長田さんは現在の仕事のスタイルを確立しました。

すなわち、ひとつのクライアントのブランド構築にたずさわり、強いつながりを持ち続けるというスタイルです。

「ホームページや商品パッケージ、販促物などのデザインをどのようなものにするかという『HOW』の要素を考える前に、何を伝えるのかという『WHAT』があって、さらに深い階層には、なぜそれを伝えるのかという『WHY』の要素があるはずです。そして、すべての要素が事業目的や企業理念と結びついて初めて、確固なメッセージのこもった適確なデザインが生まれる のだと思います」

そんな長田さんに、「ブランド」の役割、ミッションはどのようなものかを聞いてみると、次のような答えが返ってきました。

「ひとことで言えば、お客さまの事業目的の達成のためのロードマップを共創し、支援すること。

さらに言うなら、お客さま、会社、社員の三者のコミュニケーションを改善し、その結びつきを強くすることです。

ブランドというと、社外からの目に対するものと解釈されることが多いですが、社内に向けても大きく意味を持つんです。  

例えば、綺麗な内装でおいしい料理を出す店があっても、従業員の接客態度がよくなければお客さまにとってのその店の価値は半減しますよね。

従業員がその店で働くことに誇りを持ち、自信を持ってお客さまに商品を進める手助けをすることも、ブランドの大事な役割なんです」  

ブランドを通じて社会に貢献していきたい

ところで、長田さんにとっての「WHY」、すなわち「なぜ働くのか?」について聞いたところ、2014年にご自身がトータルフードプロデューサーの平井 巧さんとともに立ち上げた食材シェアパーティ「サルベージ・パーティ」をその答えの一つとして挙げてくれました。

「飲食業界の企業さまと仕事をすることが多く、フードロス(食材廃棄)の問題については関心を持っていました。

そんな中、家庭におけるフードロスを解消するアイディアを思いついて、取り組むことにしたんです。

食べごろギリギリの野菜、海外土産の調味料、安いから買ったけど使っていない加工品など、家に余っている食材を持ち寄り、食の専門家であるシェフが立派な料理に変身(サルベージ)させる様子をワクワクして見たり、味わったり、なぜ余っていたのかを一緒に考えてみたりするパーティです。

商標登録をしていますが、非営利の団体には無料で商標を提供し、サルベージを得意とするシェフの派遣も行っています」  

http://salvageparty.com/

おいしい料理を食べるだけでなく、1人1人が出来る範囲で食料廃棄を意識するきっかけ作りとなるこの取り組みは、各地方自治体の環境保全の取り組みや学校での食育教育でもプログラム化され、2015年のグッドデザイン賞を受賞しました。

また、内閣府発行の「食育白書」にも掲載されています。

「『サルベージ・パーティ』は、個人的なボランティア活動として始めたものですが、本業で培い、鍛えられたクリエイティブディレクター/ブランドマネージャーのスキルがあったからできたことだし、フードロスの問題改善に人々の関心を向けるという意味では流通・飲食業界への貢献につながります。

今後もこうした取り組みを続け、ブランドを通じて日本の中小企業の活動を支えたり、優れたものづくりの技術を世界に伝えるような活動をしていきたいと思っています」

2015年のグッドデザイン賞に選ばれた「サルベージ・パーティ」のホームページ。食を通した新しいコミュニティーを生み出し、食料廃棄軽減をうながすその取り組むが高く評価された

http://salvageparty.com/foodloss/

http://salvageparty.com/about/

今、多くのクリエイターに求められているのは、単に斬新で美しいビジュアルを生み出す力だけでなく、企業やプロジェクトの理念や目標を深く理解し、それに合致したアイディアを提案する力だということが長田さんの話からよくわかります。

その姿勢からは多くの学びが得られたのではないでしょうか。長田さんの今後の活躍からは目が離せませんね。  

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この記事を監修した人 プロテンMZ編集部

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