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インタビュー

by依田昂騎 依田昂騎

【株式会社揚羽】「ビジネス志向のクリエイター」と「クリエイティブ好きの営業」で広告業界の常識を覆す!

【株式会社揚羽】「ビジネス志向のクリエイター」と「クリエイティブ好きの営業」で広告業界の常識を覆す!

「労働時間が長いわりに、待遇が良くない」ことが暗黙の了解となっている広告制作の仕事。現場で働くクリエイター自身もまた、そのような在り方を漫然と受け入れている節も……。

こうした業界の常識を覆し、より働きやすい環境でクリエイティブとビジネスの融合を目指しているのが、今回取材で訪れた株式会社揚羽(あげは)です。

企業の採用プロモーションや販促のプロである彼らにとって、広告制作の真のあり方とは? 創業者である代表取締役社長・湊 剛宏(みなと・たけひろ)氏にお話をうかがいました。

代理店でも制作会社でもない、新しいビジネスモデル

太田 私が御社の担当になってから3年が経ちますが、御社は私がお付き合いする会社のなかでも、飛びぬけて企業の成長スピードが早い印象があります。  

湊氏 いえいえ、そんなことはありません。3年前は40名規模、現状で100名少々の社員数ですが、当面、500人を目指しています。

まだまだスピード感を持って人材を採用する必要があるなと感じていて。だから今の状況を100点満点で言うと33点ぐらいですね(笑)。残りの67点は成長スピードです。まだまだ遅い。

創業約15年ですから、せめて400~500人ぐらいの規模になっていなければと思うんです。

創業当初は有能な人とだけ仕事をしていたい、という思いがあったので少数精鋭の会社を目指していたのですが、考えが変わってきて、規模を追求するようになりました。  

太田 規模を追求すると色々な考え方を持つ人が増えるので、揚羽の良いところ、たとえば社風や理念などが薄まっていくように思うのですが、現状でそのような課題はありますか?  

湊氏 課題としては感じていません。人が増えれば、そういうことが起こるのも普通なのかなと思っています。

とはいえ弊社は、ビジネスもクリエイティブも両方出来る人達でつくり上げた会社で、クリエイティブが好きな営業と、ビジネスのことも熟知しているクリエイターを大事にしています。

こうした弊社の理念に共感してくれる人材は世の中にたくさんいると思いますし、そういう人達に集まってもらえたら、社風や理念が薄まることはないでしょう。  

太田 中途、新卒ともに、毎年御社を希望される方がたくさんいるのですが、やはりその「両軸での活躍」に魅力を感じている方が多いです。

では、市場において御社が目指しているのはどのようなポジションなのでしょうか。  

湊氏 「広告代理店と制作会社」というペアが行っている仕事を「揚羽」は1社で両社の役割を担う企業として認知してもらいたいと思っています。

そして代理店を通さずに直接クライアントとやりとりをする、というところで差別化を図りたいですね。

代理店と制作会社の2社がいないと成立できなかったものを1社でできれば、コストも安く済むし、コミュニケーションも円滑に進みます。  

太田 そうですね。今のお話をうかがっていると、御社はもはや制作会社と一言では表現できないような気がします。  

湊氏 そうなんです。最近は、制作会社というのは違うような気がしています。でも代理店でもないし。新しいカテゴリーをつくりたいですね。何か良いネーミングありませんか?(笑)  

太田 新しい呼び方を考えてみましょう(笑)。  

社員一人ひとりが影響力を持つ集団へ

太田 今後、揚羽が取り組むミッションについて教えてください。  

湊氏 「一人でも多くの未来の一歩を創り出す」を掲げています。実は近々ミッション会議があり、みんなで相談して決定する予定ですが、僕が変えようと考えているのがこのミッションです。 太田 私の記憶ですと、確か以前は「未来の一歩を創り出す」を掲げていらっしゃったと思うのですが、「一人でも多くの」というワードが増えたのには何か意味があるのでしょうか。  

湊氏 はい、従来のミッションも、もちろんとても素晴らしいと思います。

情報の受け手が、私たちの手掛けた、企業の採用プロモーションや販促のクリエイティブを見たことによって、「この会社で働きたいな」と思ったり、「この商品を買ったら幸せになれる」と思ったり、前向きになれるミッションです。

ただし、従来のままでは影響力が弱い。僕たちは社員全員が影響力を持ちたいと思っているので、「1人でも多くの」が入ることでスケールが大きくなって、より優れたクリエイティブを目指す原動力になります。  

さらに採用も同様で、一人でも多くの人たちの未来をつくるのであれば10人じゃ足りない、100人の方がイメージがしやすいじゃないですか。

今のミッションにはそれが足りていないな、と感じたわけです。私達は広告作りをしていますが、他の制作会社と比べて残業時間は少ないし、給与もきちんと支払います。

ほかにもいろいろな制度を取り入れながら、常に働きやすさを求めています。

こういう会社が影響力を持つべきだと思っていて、そのためにはまずその影響力を高めることが大事なんです。そういった意味でミッションを変えていきたい、と思っています。  

太田 受け取る側の腹に落ちて、さらに作り手にはより理想を追求できる内容ですね。あわせて、揚羽が目指すビジョンについてお聞かせください。  

湊氏 実はビジョンはこれからみんなで考えようという段階なんです。この記事が出る時に変わってしまうと困るので、また次の機会でお願いします(笑)。  

成長するかどうかの決め手はバイタリティー

株式会社揚羽 太田 御社の社員の方と接すると「下から上へと伝達する力が強い会社だな」と感じます。

御社にとって「強い人」というのは具体的にどのような人でしょうか?せっかくですので人材の採用の基準についても教えてください。  

湊氏 負けず嫌いな人ですね。かつ、対応力が高くて向上心に実行力が伴っている人材を求めています。ただ負けず嫌いなだけではだめです。

怒られても、次の日にはバリバリ仕事をしている人がいいですね。私も最終面接を担当しているのですが、全員が反対しても私が「この人はいける!」と判断した人材は採用しています。

特に新卒の採用に関してはバイタリティーを重視します。頭の良さはある程度クリアしていればOKですし、コミュニケーション能力は後からでも付いてきますが、バイタリティーだけは後から身に付かないんですよ。  

新卒では「湊枠」というのがありまして、みんながどんなに反対しても「この学生は絶対大丈夫だ!」と思う人材を1人採用します。

だいたい1年半ぐらいは全く仕事ができなくて、周りの人にもすごく迷惑をかけるし全然だめなのですが、1年半たつとガラッと変わって、ものすごいハイパフォーマーになるんです。

そういう人ってやっぱりバイタリティーがあるんですよね。  

太田 では面接の時、バイタリティーはどこで判断されるんですか?  

湊氏 なかなか難しいんです。元気なふりをしているだけかもしれませんしね。

たとえばバイト経験について聞いて、「大学4年間、近所のコンビニで真面目にコツコツやっていました!」という回答だと、ちょっと違いますね(笑)。

バイタリティーがある人は、面白い仕事や、時給が高い仕事など、何かしら目的を持って動いていますし、わざわざ遠くまで行ったり、掛け持っていたりもしますよね。

それはサークル活動も同じです。とにかく、いろんなことをしている人はバイタリティーがありますよね。もちろん例外はあります。例外も結構多いかもしれません。  

制作と営業、どちらの方法論も身につけてほしい

太田 中途採用の場合、重視されるのはどういった点ですか?  

湊氏 クリエイター職に関しては、ビジネス感覚の一言に尽きますね。投資対効果を理解できているかどうかを重視します。アーティストではないので。

「予算がない時はどうしますか?」といった質問をしてみて「クオリティのためなら予算は度外視します」という人はNGです。

私たちが幸せになるためには、僕らが提供する価値に対して、お客様からお金をもらわなければいけません。

クリエイターは言葉で説明するのが苦手で「いい人」が多いので、時にはタダで引き受けてしまうこともあります。それでは結局クリエイター自身が幸せになれませんから。

逆に営業職の採用では、クリエイティブが好きかどうかが重要になってきますね。  

太田 クリエイター、営業それぞれに逆方向のハイブリッドさが求められますね。  

湊氏 そうですね。でも分業化はしたほうが良いと思っています。大切なのは、制作も営業もお互いの強さを身に付けることなんです。

たとえば「デザイナーなのでお金のこと関係ありません」ではなくて、制作側も予算やコストを理解したうえで仕事をする、というように。

仕事の種類のハイブリットということではなくて、考え方のハイブリッドですね。業界全体に言えることですが、残念ながら能力の高いデザイナーでも、代理店の手足として働くしかない状況があります。

それはもったいない。交渉力やコミュニケーション力を身に付けるだけで、もっと稼げるかもしれないんです。その先鞭を弊社がつけたいと考えています。  

将来、弊社が大きくなり、「揚羽って今伸びている会社みたいだけど、何をしている会社?」という会話が生まれたときに、「ハイブリッドなクリエイターがクライアントと直接コミュニケーション取っていて、代理店と制作会社を足して2で割ったみたいな会社だよ」と認知されることが当面の目標です。

そのために、社員数は100人や200人ではなく、500人や1,000人規模を目指しています。

そのくらいになれば「ちょっと話聞いてみようか」「こういうスタイルもいいよね」と思ってもらえるようになるじゃないですか。  

太田 それだけの規模となると、さらに仕事が広がりを見せて現在の主力である企業の採用案件以外にも新たなビジネスの柱が登場しそうですね。  

湊氏 現状、クライアントの主な取引部署は人事部が半分ですが、残りの半分は広報、経営企画、マーケティングです。

1つのクライアントのクリエイティブに関する課題には全てお答えできるのが理想です。そうなると、500人では足りないですよね。今後はそういう会社になることを目指しています。  

太田 そうですね、かなりの人数とリソースが必要になりますね。今後、揚羽の益々の発展を楽しみにしています。ありがとうございました。   株式会社揚羽

<湊 剛宏氏プロフィール> 1968年 東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒。1992年 株式会社リクルート入社。HRの営業を7年間経験。1999年 テレビドキュメンタリー制作会社に転職。AD、ディレクター、プロデューサーを経て、2001年株式会社揚羽を設立。趣味はスキューバダイビング、ラグビー。

撮影/木下治子

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依田昂騎

依田昂騎

この記事を監修した人 依田昂騎 プロテンマガジン編集長

クリエイティブ出身のマーケター。コンテンツディレクター。これまでのキャリアを活かして、働き方改革やキャリアをテーマにした各種メディアで発信中。

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