「AIを使って製品を開発しても、独創性は生まれません」。革新的な家電で知られるダイソンの創業者、ジェームズ・ダイソン氏はこう断言します。生成AIの導入競争が激化する現在、その言葉は「人間ならではの発想」が企業競争力を左右し続けることを改めて示しています。
「AIは反復作業の代替にすぎない」
ダイソン氏は東京でのインタビューで、「AIは反復作業を肩代わりする存在であり、創造性は宿らない」と強調しました。自動設計や需要予測が高度化しても、ゼロから新しいアイデアを生み出すのは人間だというわけです。
“使うAI”と“作るAI”を切り分ける
同社はAIを全否定しているわけではありません。製品に内蔵するセンサーやアプリ「MyDyson」では、AIがユーザーの利用状況を学習し最適設定に自動調整します――いわば「機能としてのAI」です。一方で、新しい製品コンセプト自体をAIに委ねる考えはなく、開発プロセスの核心には人間の仮説思考を据えています。AIは周辺業務の効率化に徹し、この“使うAI”と“作るAI”の明確な線引きこそがダイソン流と言えます。
独創性は「組み合わせる力」
ダイソン氏が示す独創性とは、“無からの発明”ではなく「既存技術の異分野的な組み合わせ」です。高回転モーター、バッテリー制御、流体力学――同社が培った複数のコア技術を重ね合わせ、市場の常識を覆す製品へと仕上げます。AIは設計シミュレーションを加速させても、この組み合わせの妙を考案する主体にはなり得ないという考えです。

キャリアへの示唆――問いを立てる力を磨く
生成AIがホワイトカラー業務を代替しつつある今、キャリア形成でも「問いを立て、仮説を試行する力」が武器になります。データを読み解くだけでなく、そこから「何を作るか」を描ける人材にこそ付加価値が集中するでしょう。独創性を鍛える近道は、日常的に課題意識を書き留め、小さく実験を重ねることです。
まとめ
AIは開発現場に欠かせないツールになりつつありますが、「オリジナル」を生み出す源泉は人間の経験と直感にあります――これがダイソン氏のメッセージです。日本企業が持続的に競争力を保つうえでも、AI任せではない“仮説駆動型”の発想をどう醸成するかが問われています。
キャリア形成においても、自らの創造力を磨き、独自の価値を提供できる人材になることが、これからの時代において重要です。
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