メガバンクは“投資家”と“開発者”を両立するフェーズへ
三井住友銀行(SMBC)は 7 月 28 日、シリコンバレーの DNX Ventures と共同でベンチャーキャピタル「SMBC American Innovation」を立ち上げた。生成 AI・AI エージェント・データ分析を手がける米スタートアップに1 社あたり数千万円〜数億円規模で直接投資し、将来的な M&A や国内導入まで見据える戦略だ。
さらに SMBC グループは同月、元マイクロソフトアジア社長アーメッド・マザーリ氏と共同でシンガポールに AI 活用の新会社を設立すると発表。AI が自律判断で業務をこなす「AI エージェント」の開発と導入支援を掲げており、VC 投資と両輪でグローバル AI 戦略を加速させる。(参照:SMBCBusiness Insider Japan)
メガバンクが“お金を出す”だけでなく“AI を創る”時代が本格到来した。
AI エージェントの衝撃──楽天×Claude Opus 4「1250 万行を7 時間」
今、金融界の外でも AI エージェントの実力が鮮明だ。楽天グループは 5 月、Anthropic の最新モデル Claude Opus 4 に自社 AI ソフトの高速化を指示。AI はタスクを自ら分解し、1 250 万行ものコードをわずか 7 時間で整理したという。人間なら 1 週間かかる作業だ。担当エンジニアは時折求められる確認ボタンを押すだけだった。(参照:note)
従来の生成 AI が「質問→即答」の受動型だったのに対し、AI エージェントは計画→実行→検証を自律ループする能動型へ進化。長時間・高難度タスクを“ノンストップ”で完遂できることが、ビジネス現場を一変させようとしている。
SMBC が投資しようとしているのは、まさにこの“能動型 AI”領域だ。
追随する国内勢──みずほも社内エージェントを導入
メガバンクでは、みずほフィナンシャルグループが 7 月に社内生成 AI エージェント「AI クリスタル」を稼働させ、稟議書ドラフトや FAQ 対応を自動化する計画を公表。各行とも “AI エージェント常設” を前提に DX を再設計しつつある。
参考記事:AI「クリスタル」が動き出す――銀行バックオフィスの現場で何が変わるのか
金融人材に迫る 3 つのパラダイムシフト
シフト | 変わるポイント | 今すぐ着手すべきこと |
① 「金融知識+AI リテラシー」が新・教養 | RAG、長時間エージェント運用、AI リスク管理を語れないと議論に入れない | 生成 AI/RAG のハンズオン受講 & 社内 PoC 参加 |
② 橋渡し人材の急騰 | 金融×AI×業務設計を一気通貫できる人材が不足 | 要件定義〜運用の実績をドキュメント化 |
③ 「安定=社歴」の崩壊 | 銀行業務の 30〜40 % が自動化対象 | AI プロジェクトの成果をポートフォリオ化し、市場価値を可視化 |
変化を“創る側”に
SMBC の VC 設立とシンガポール新会社、楽天の 7 時間コーディング、みずほの社内エージェント――金融×AI は「選択肢」から「前提条件」へ。
AI を“ツール”として使う段階は終わり、“共創パートナー”として組み込む段階へ進んだ。今日できる小さな PoC から、AI 時代のキャリアをデザインし直そう。
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