高学歴でも壁が厚い――AIで採用・雇用の効率化が進む中、新卒エンジニアの門戸は狭まっています。今後に通用するスキルと戦略を明らかにし、若手求職者がすべき行動へ導きます。
採用の現状理解
AI導入による人員抑制
近年、米国の大手企業は「少数精鋭体制」へと舵を切り、AI効率化を推進しています。S&P500企業のうち5社に1社は過去10年でホワイトカラー労働者を削減した。AmazonやMicrosoft、P&GなどがAI活用による人員最適化を進めており、Amazon CEOのアンディ・ジャシー氏は「今後数年間で生成AIが多くの企業職の削減をもたらす」と公言しています。
ShopifyやDuolingoでは、「AIで代替できるか検証してから採用する」という方針を取るなど、厳選採用が一般化。日本でもHRテックの導入が進みつつありますが、中小企業を中心に慎重な姿勢も残っています。
新卒・若手エンジニアへの影響
採用枠の減少と高い失業率
米国労働省によると、2025年5月時点で20～24歳の大学新卒失業率は6.6％と10年で最も高い水準。35～44歳の失業率2.2％と比べても倍以上です。
LinkedInの統計では、新卒採用枠は2019年比で17％減。Big Tech各社では25％、スタートアップでも11％の採用縮小が報告されています。
■参照元：WSJ
AIによる足切りの強化
ATS（採用管理システム）にAIが搭載され、履歴書スクリーニングが自動化された結果、“経験の薄さ”だけで不利になるケースが増加。書類選考で脱落する若手も多く、実力以前に「通過の土俵にすら立てない」事態が起きています。
求められる“AIでは代替できないスキル”
OECDの分析では、AIに代替されにくいスキルとして「創造性」「専門知識」「対人スキル」が挙げられています。近年は職務内容ベースで評価する「スキルベース採用」が主流になり、学歴よりも実力・実績が重視されています。
日本でも、クラウド設計、プロジェクト推進、業務設計など、AIが不得意とする職務での人材需要が高まっており、Morgan McKinleyの調査によると、IT人材の76％が「採用競争が激化している」と回答しています。
今、何をすべきか
“選ばれる若手”になる5つの戦略
① 自分の市場価値を見直す
スキル・経験・志向を整理し、どの分野で自分が価値を出せるかを明確に。
② AIに代替されにくいスキルを強化する
課題解決力、プロジェクト推進、ユーザー理解などを重点的に磨く。
③ 成果を“見せる化”する
ポートフォリオやGitHubに実績を載せ、定量的に示すことで差別化。
④ 転職エージェントを“情報と戦略”のパートナーにする
専門知識を持ったエージェントを活用すれば、自分の市場価値や企業のAI活用状況を把握しやすくなります。また、非公開求人や選考アドバイスを得ることで、戦略的な応募・面接対策が可能になります。
⑤ 越境視点を持つ
海外市場や異業種にも目を向け、英語・国際資格などで価値を広げる。
このように、単なるスキル習得ではなく「戦略的に選ばれにいく」姿勢が、今後ますます重要です。今の自分を冷静に分析し、価値を磨き、市場に合わせて見せ方を設計していきましょう。
まとめ
AIの進化が加速する中で、求められる資質やスキルは大きく変わりつつあります。
「良い大学を出た」だけでは選ばれにくくなった今、自らの強みを見直し、学び直し、そして“見せ方”を戦略的に設計することが欠かせません。
重要なのは、自分の未来に対して受け身にならず、「選べる立場になること」。そのために必要なのが、今ここでスキルと視野を広げ、可能性を狭めないアクションを取ることです。
私たちは「キャリアの選択肢を増やす」ことを理念とし、一人ひとりの前に新しい道が拓けるよう支援しています。まずは、自分の価値を再発見することから始めてみませんか？
