コロナ禍をきっかけに働き方の選択肢が増え、「リモート勤務」や「出社勤務」を自由に選べる時代が近づいています。しかし、選択肢が多いからこそ、「自分にとってベストな働き方とは何か?」を見極める力が求められています。本記事では、それぞれのメリットと課題を比較しながら、今後の働き方を考えるヒントをお届けします。
フルリモート勤務の今──“特別”から“標準”へ
フルリモート勤務は、今や一時的な措置ではなく、多くの人にとって「理想的な働き方」の一つとなっています。検索データを見ると、「フルリモート×職種名」などのキーワードが安定して検索されており、働き方の前提条件として定着しつつあることが分かります。
企業側もこのニーズを捉え、「フルリモート可」の求人を増やしています。その有無が応募数に大きく影響するケースもあり、フルリモートは“特別な制度”ではなく“当たり前”になりつつあります。
世界と比べてどう?日本のリモートワーク事情
2023年の調査によれば、日本のリモート勤務実施日数は週あたりわずか0.5日で、調査対象34か国の中でも最低水準。一方、アメリカでは1.4日、イギリスでは1.8日と、リモート勤務が日常に根付いています。
特にイギリスでは、政府主導の推進策や法整備も進んでおり、企業の組織設計にもリモート前提の考え方が取り入れられています。
■参照元:WFH Research
それに対して日本では、「顔を合わせていないと不安」「対面でないと管理しづらい」といった意識が根強く、制度面は整っていても、実際の運用が進みにくい状況です。
リモート勤務を広く浸透させるには、制度導入だけでなく、評価の仕組みやマネジメントスタイルの見直しも必要でしょう。
出社勤務の価値──リアルな強みと生活への影響
出社勤務の最大の強みは、リアルタイムでの対面コミュニケーションです。表情や声のトーンから相手の意図を汲み取りやすく、ちょっとした相談もすぐにできるため、業務のスピード感が大きく向上します。会議後の雑談や立ち話の中で、意思決定がその場で行われることもあり、結果として業務がスムーズに進みやすいのが特徴です。
特に新人教育やOJTなど、細かな指導が求められる場面では、対面によるやりとりが効果を発揮します。また、オフィスでは自然と雑談が生まれやすく、それがチームの一体感や組織文化の浸透につながります。
企業側にとっても、業務管理がしやすく、従業員の状況や成果をリアルタイムで把握できるというメリットがあります。周囲との連携もしやすく、複数の部署にまたがる調整やトラブル対応も円滑に進みやすくなります。
ただし、通勤の負担は大きな課題です。都市部では満員電車によるストレス、地方では長時間の移動が、生活の質や業務効率に影響を与える可能性があります。また、勤務時間や場所が固定されることで、柔軟な働き方を求める若年層や子育て世代からは敬遠されがちです。
リモート勤務の利点と壁──自由の裏にある責任
リモート勤務には、通勤が不要になり、生活リズムを自分で調整できるという大きな利点があります。育児や介護、地方在住など、ライフスタイルに制約のある人にとっては、働き続けるための大きな支えとなります。
さらに、ワークライフバランスやウェルビーイング(心身の健康)の観点からも、リモート勤務は評価されています。家事の分担やちょっとした休息を取りやすく、長期的な健康維持にもプラスに働くでしょう。
その一方で、課題もあります。雑談や相談の機会が減り、孤立感を覚えやすくなること。働いている姿が見えにくいため、信頼関係の構築が難しくなるという声も少なくありません。
また、OJTや日常の声かけが減ることで、特に新人・若手社員の成長機会が限られてしまう傾向があります。企業側には、オンライン環境を前提とした育成体制が求められています。
理想の働き方を選ぶには、スキルがカギ
「リモートで働きたい」と思っても、すべての職種・人材が選べるわけではありません。リモート勤務をしやすい条件として以下のような傾向があると考えられます。:
- 専門職(エンジニア、マーケターなど)
- ITツールの活用(Slack、Zoom、Notionなど)
- 自律的な業務遂行(自己管理・タスクの優先付け)
これらの要素が不足している場合、「リモートの対象から外れてしまうこともあります。だからこそ、スキルの棚卸しや学び直しを通じて、選択肢を広げていくことが大切です。
※スキルの棚卸は過去記事をご参照ください。
「自分に合う働き方」は自ら選ぶもの
リモート勤務、出社勤務、ハイブリッド勤務──働き方が多様化するいま、自分にとってベストなスタイルを見つけることは、以前よりも重要になっています。
ただし、「理想」を実現するには、その働き方に見合うスキルと準備が必要です。そして何より、自分の価値観や将来像をしっかりと見つめることが第一歩となります。
まとめ
「あなたらしい働き方」を叶えるために、「プロの転職」へご相談ください。
経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの希望や強みを丁寧にヒアリングし、最適な働き方を一緒に考えます。「リモートで働きたい」「柔軟なキャリアを築きたい」など、どんなお悩みもお気軽にご相談ください。
