これだけは知っておきたい「転職」の基本20選

20.転職活動の重要ポイント!後悔しない退職交渉の仕方

転職を希望する場合、まず転職先を探すことや転職先との面接に気持ちが向きがちです。確かに転職の際には、これから新しく雇用関係となる転職先を重要視したくなります。しかし退職交渉においてトラブルになってしまうことも多いため、現職へ転職を伝える際などには注意が必要です。スムーズに転職するためにも退職交渉の流れや注意点、引き留めにあったときの対処法などを詳しく解説します。

退職交渉とは?

転職先が決定したら、現職の会社に退職の意思を伝えます。退職するためには、退社日や仕事の引き継ぎのスケジュールなど様々なことを決めなくてはいけません。それらの詳細を現職の会社と交渉するのが退職交渉です。転職先から内定がもらえても、転職が決定したわけではありません。今いる会社をきちんと退職し、新しく転職先の会社に就職することができた時点で転職できたと捉えましょう。多くの人は転職活動を重点的に行いますが、実は会社を辞める際にはトラブルが起きやすいため退職のための交渉も重要です。転職先の会社から内定がもらえることが転職のゴールではないということを念頭におきましょう。

転職活動をする際には、その先に退職交渉があることを常に意識することがおすすめです。円満退職できれば特に問題はありませんが、職場から一人社員が抜けるということで多くの問題が発生することもあります。それまで自分が行っていた業務を引き継ぐ必要がありますし、有給を消化する必要も出てくるケースもあるため多方面での調整が必要です。転職をするということは、大なり小なり現職の職場に迷惑や負担がかかります。そのため自分のことばかりではなく、現職の職場への配慮も行うのが社会人としてのマナーになります。自分の希望も通しつつ、極力退職交渉がこじれないように心がけましょう。

退職交渉の流れ

退職交渉を行う際には、タイミングに気をつけましょう。ベストなタイミングは、内定後にすみやかに退職の報告をすることです。内定前に退職の意思を伝えるのは、おすすめできません。万が一転職活動が予想よりも進まずに、なかなか内定がもらえない場合には現職の退職の話だけが進んでしまうことも考えられます。最悪の場合は、転職先が決定していないのに退職だけが決定してしまうというケースです。会社側は退職することを承認すると、業務が滞るのを防ぐために新しい人員を補充することを考えます。新しく人材を採用することになると、その新採用の人材の入社日などを優先的に取り扱うのが一般的です。

辞めていく社員よりも新しく入社する社員を手厚く扱うのは、至極当然ことだと言えます。そうなってしまうのを回避するためにも、内定が決定してから退職の報告を行うのが最適です。退職の報告をしても、すぐに退社できるわけではありません。退社交渉ができるのは民法では2週間前となっていますが、それぞれの会社で就業規則が異なります。一般的に退職を希望する日の1ヶ月前とする会社が多いですが、この限りではなく2ヶ月前など、さらに長期の期間を設定している会社もあるので事前に確認をしましょう。

退職の報告は繊細な問題ですので、慎重に行うのが大切です。ここで失敗すると、信用問題に発展したり、あとあと長引いてしまったりということもあります。会社は組織ですので退職の報告を、どの役職の誰に行うかが重要です。直属の上司を飛ばして上の役職の方に先に報告を行うのは、場合によってはマナー違反になることもあります。自分の部下であっても転職や退職の報告を先にしてはいけません。まずは直属の上司に報告をしましょう。報告の際には、朝一番に上司に「ご報告したいことがありますので、どこかでお時間をいただけないでしょうか」と持ちかけるとスマートです。

上司も部下の話を聞く心算ができますし、話を聞く時間を作ることができます。この時の注意点としては、1回目から退職届けを提出するのは、ぶしつけになりますのでやめましょう。1回目はあくまでも報告であり、口頭だけにとどめるのがマナーです。また報告をする際には、メールなどで済ませず、直接報告します。報告の際には、退職理由を聞かれることが多いですが、たとえ退職理由が現職の会社への不満であっても濁すのが無難です。その後、退職届けを提出しますが、会社によって社内規則が異なりますので必ず提出方法を確認しましょう。提出先が上司や部長などではなく、上司の承諾後に人事部にケースもあります。

提出する際には退職届と退職願がありますが、意味合いなどが変わってきますので注意してください。退職届けは「退職します」という意思を申し出る時に用い、提出後の撤回ができないのが特徴です。これに対して退職願いは「退職の了承をお願いします」という意味を持ち、会社の承認前であれば撤回が可能になります。状況に合わせて使い分けるようにしましょう。また辞表は役員などの役職を持った社員が使用するものですので間違えないようにしてください。退職日などが決定したら、それまでに業務の引き継ぎを行います。公認の社員が困ることがないように業務のポイントなどをノートにまとめておくと便利です。

有給が残っている場合には、計画的に消化できるようにしましょう。その際には現職の職場に明確がかからないような消化の仕方をする方が良いです。繁忙期に有給をまとめて取るのは、職場のヒンシュクを買ってしまいます。退職時にはきちんと各方面に挨拶に回り、お世話になった方などにお礼を伝えることもビジネスマナーです。デスクやロッカーといった場所については私物を持ち帰り、キレイに整頓・清掃して会社に返却します。会社を去る最後の時まで、気持ちよく退社できるように努めましょう。

引き留め交渉の対処方法

退職交渉を行う際のトラブルで多いのが、現職の会社から引き留めにあって話がこじれてしまうパターンです。転職を希望する人は、すんなりと退職できると予想している人が多くいますが、退職交渉が上手く進むとは限りません。昇進や昇級を持ちかけて、引き止め交渉を受けることも考えられます。一度引き止めを受けてしまうと退職交渉が難航することがありますので、退職を報告する際には引き止めがある可能性も頭に入れておくことがポイントです。引き止めにあった場合に、どのように対処するのか事前に考えておくことで、実際に引き止めにあっても慌てずに対応することができます。

引き留め交渉に良く見られるのが不満点を聞き出して、それらの改善を約束するという手段です。今よりも良い待遇になることで転職の決意が揺らぐこともありますが、そもそも本当に改善されるという保証はありません。退職を引き留めるため、その場だけの口約束をしたという可能性もゼロではないので注意しましょう。このような引き止めに合わないためには、会社側が納得できるような退職理由にすることがおすすめです。例えば「新しくチャレンジしたいことができた」などと、会社側に交渉の隙を与えないのもポイントになります。

ただし、あまり頑なな態度では会社側との関係が悪化してしまいますので、柔軟に対応しつつ自分の希望が通るように立ち回りましょう。

内定後に転職取りやめは可能?現職にとどまれる?

内定をもらった後に、内定辞退は可能です。転職を会社に報告したことで様々な点が改善されたり、転職先に不安を感じたりなどで現職にとどまることもあります。まずは内定先に、できるだけ早く内定辞退の連絡を入れます。連絡の際は心証に影響するので丁寧に対応することが条件です。内定を辞退する理由も、相手が納得できるような内容のものを考えておくとスムーズに進められます。転職を希望し転職届けや転職願いを提出している場合には、会社が受け取って承認しているかが焦点です。会社が承認前であれば、退職を取り下げることができます。

会社からの引き止め交渉などがなく会社が承認してしまった場合には撤回は難しくなります。退職の届け出を取り消すためには、会社側と話し合いを持ち、会社側の同意を得ることが必要です。退職届や退職願を提出する際には、現職にとどまる可能性も考慮して慎重に判断しましょう。また転職をやめたとしても、その後の職場で立場が弱くなったり居心地が悪くなったりしたというケースもあります。退職の意思表示をするということは、周囲の印象や評価などにも関わってくるため、本当に転職が最善なのかという冷静な状況判断が大切です。特に転職の取りやめは内定をもらった転職先にも迷惑をかけることになりますので、中途半端な転職活動にならないようにしてください。

スムーズにいくとは限らない?退職交渉は慎重に!

転職をする際には、現職の会社に退職の意志を伝える必要があります。退職交渉はタイミングや誰に最初に伝えるのか、という点において守るべきマナーがあるので注意してください。退職交渉時に、会社から思わぬ引き止め交渉にあうこともあります。退職が承認されずに難航し、転職先の入社日を決めることができないといったトラブルも少なくありません。円満退職のためにも細心の注意を払って行動しましょう。