これだけは知っておきたい「転職」の基本20選
19.転職活動で内定を獲得した後に何をする?最後まで気を抜かずにやりきるためのポイント
転職活動で無事に内定が出され、ホッと一息つく方もいらっしゃるかと思います。しかし転職活動は内定が出されて全て終わり、というわけではありません。現職の退職手続きや内定先での手続きなど、意外とやるべきことは多いです。現職に迷惑をかけずスムーズに退職できるよう、内定が出された後に行うべきアクションについて確認していきましょう。
『労働条件通知書』と『雇用契約書』を確認する
内定が出されてからまずやるべきことは、労働条件通知書と雇用契約書の確認です。内定先企業で働く上での条件を明示してある書類のことを指します。ただし、雇用契約書はあくまで任意の作成であるのに対して、労働条件通知書は企業側に法律で提出が義務付けられているものです。労働基準法に定められた条件を満たす必要があり、これが事実と異なるものであれば労働者は契約を解除できます。必ず掲載しなければいけない内容は以下の通りです。
- ・契約期間
- ・就業場所
- ・業務内容
- ・始業と就業時間、休憩時間、所定時間外労働について
- ・休日と休暇
- ・賃金について
- ・退職に関する事項
- ・社会保険と雇用保険について
- ・更新の有無
他にも雇用形態に応じて明示すべき内容があります。有期契約労働者であれば契約期間終了後の契約更新に関することが必要ですし、短時間労働者の場合は昇給や退職手当、賞与の有無などが必要です。正社員以外で雇用される場合は、自分の雇用形態に合わせて条件を満たしているかしっかり確認しておきましょう。これらの内容で問題がなければ、入社承諾書に署名をします。
オファー面談を行う場合もある
労働条件通知書を確認する際に、オファー面談を行うケースもあります。これは最終面接合格後に行われるため選考ではありません。労働条件や雇用条件について細かく確認する面談のことです。労働条件通知書にも必要事項は書いてありますが、細かい評価制度や福利厚生についてはしっかり確認しておく必要があります。これから自分が働く会社に関することなので、疑問点があればここでしっかり解消しておきましょう。ここで提示された条件に納得がいかなければ入社を断ることも可能です。ただし、オファー面談に法的拘束力はありませんので、企業からの申し出が無い時もあります。その場合は自分で依頼することが大切です。
オファー面談時にはまだ入社承諾をしていないため、他社で内定が出ている可能性もあります。その場合に隠す必要はありません。むしろあなたの価値が他社にも認められているという証拠になります。競合がいることを伝えれば、あなたを獲得するために年収面などの待遇を変えてもらえる可能性もあるため交渉はしやすくなるでしょう。ただし、決して横柄な態度になってはいけません。ここで企業からのイメージが悪くなれば、例え入社したとしてもその印象がつきまといます。最後まで礼儀を持って話し合いましょう。
ここでの話し合いが終わってすぐに入社承諾書に署名をすることもできますが、基本的には後日回答にすべきです。オファー面談の内容を聞いてからもう一度冷静に考え直し、後日改めて返事をした方が入社後のミスマッチを防ぐことができます。特に他社との比較をするのであれば、その場で判断せずに内定先企業の条件が出揃ってから決めた方が後悔しないでしょう。転職は大きな決断ですから、焦らずに決めることが大切です。
現職で退職準備をする
転職先が決まったら、まず現職の直属の上司に退職する旨を伝えましょう。この直属の上司とは、同じ部署で直接仕事の指示をもらっていた方のことです。転職が決まるとうっかり同僚などに話をしてしまう場合もありますが、職場の雰囲気に影響を与える可能性もあるためむやみに広めるべきではありません。仕事の引き継ぎなどへも影響があるため、退職希望日は余裕を持って設定し、2ヶ月前くらいには退職の旨を伝えておきましょう。会社によっては、就業規則で1ヶ月前までに申し出る必要などもあるため注意が必要です。退職の意思を伝える際は、できれば繁忙期や就業時間内は避けて、落ち着いている就業時間外に伝えることを心がけましょう。
法律的には、退職の旨を伝える際は口頭のみでも問題ありません。ただ、後々会社とのトラブルを避けるためにも書面で残しておいた方が無難でしょう。書面で残す場合は、退職願か退職届を提出します。『退職願』は退職したい旨を会社に伝える書類で、『退職届』は会社と本人の合意後に退職を届け出るものです。しかしどちらでも問題ない会社も多く、フォーマットが用意されている場合もあるので確認しておきましょう。基本的には、これらを提出した後に撤回はできませんので注意してください。
退職の旨が受理されたら、退職日と入社日を決めましょう。入社日を決めると、転職先企業はその日程に向けて受け入れ準備を進めます。なので基本的には変更ができません。そのため仕事の引き継ぎに要する時間を考慮し、余裕を持ったスケジュールで組み立てましょう。
仕事の引き継ぎを行う
退職の旨を伝えたら仕事の引き継ぎを行いましょう。退職まであと少しとなると、この引き継ぎが適当になる方もいます。しかし、どこかで仕事を一緒にする可能性はありますし、後任の方が困らないように最後まできちんと引き継ぎましょう。基本的には有給消化に入る前には終わらせておきます。職場にいない状態では引き継ぎがやりにくいですし、何より休みの間に転職先企業で準備をする必要があるかもしれませんよね。スムーズに引き継ぎをするためのポイントは以下の2つです。
#引き継ぎのスケジュールを決める
退職の旨が了承されたら、引き継ぎのスケジュールを相談しましょう。残っている有給休暇の日数なども考慮しつつ、退社日に間に合うようにスケジュールを組みます。必要に応じてマニュアル作成や顧客への挨拶などについても考慮しましょう。ここのスケジュールがずれると、引き継ぎが入社日に間に合わないという事態になりかねません。
#業務を整理する
これまで担当していた業務の資料やリストなどを整理していきます。技術系であれば、必要に応じて作業マニュアルなどを作成し、後任者がスムーズに業務に取り組める環境を整えましょう。営業であれば、取引先一覧の作成や申し送り事項のまとめなどがあると後任者が活動しやすくなります。マニュアルやリストなどを作成した際は、それを丸投げせず後任者と作業してみることも大切です。口頭で聞いたり資料を見るだけでは気付かないような穴を発見できるかもしれません。退職した後で業務の疑問点が見つかるとなかなかすぐには解決できないので、引き継ぎの段階でしっかり確認しておきましょう。
職種によって多少差はありますが、基本的にはこの2つを意識してください。引き継ぎのゴールは、後任の担当者がスムーズに業務に取り組めるようになることです。円満に退職するためにも最後までしっかり引き継ぎましょう。
有給消化中に転職先への入社に備える
引き継ぎまでしっかり終わらせて、いよいよ有給消化に入りましょう。有給が溜まっている人であれば1ヶ月間休めるという場合もあるのではないでしょうか?この休みの期間に何をしても自由です。過ごし方としては以下の2パターンが多いようです。
#リフレッシュする
会社員をしていると、有給消化期間くらいでしか長期間休めない方も多いのではないでしょうか?そのため思い切って海外旅行などに出かける方もいます。通常の平日に行けるため、お盆やお正月とは違って混雑していませんし、費用を抑えられるのも魅力的です。実家に帰省して両親にきちんと転職の報告をしても喜ばれますね。人によっては、転職に伴い引越しをする必要があるかもしれません。その場合は新生活の準備をするのも良いでしょう。
#スキルアップをしておく
休み期間中はまとまった勉強時間を確保できるチャンスです。同業種はもちろん、異業種への転職の場合はまたゼロからスタートを切ることになります。入社してからなるべく早く業務に慣れるように、本で専門的な知識の予習をしたり、資格取得の勉強をしたりするのもオススメです。直接業務とは関係無くとも、ボランティアなどに参加することで新しい知見を手に入れることができるかもしれません。英会話の勉強と旅行を兼ねて短期留学に行くというのも良いですね。
このように有給消化期間中は、今までやれなかったことに思い切り取り組めるチャンスです。快適なスタートダッシュを切れるように有意義な有給消化にしてください。
最後まで気を抜かず、やるべきことをやってから円満に転職しましょう!
このように、転職活動で内定が出たからこそやるべきことがたくさんあります。本当に内定を承諾して良いのかしっかり考えることはもちろん、現職に迷惑をかけず円満退職することも大切です。ひょっとするとまたどこかで一緒に仕事する機会があるかもしれませんし、何より社会人として最後まで礼儀を忘れてはいけませんよね。次の職場でスムーズなスタートが切れるように、内定〜入社までの流れはしっかり覚えておきましょう。
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