これだけは知っておきたい「転職」の基本20選

15.転職の面接でなぜそんなことがよく聞かれるのか、企業の狙いや意図を探る質問集

転職の際に行われる面接では、様々な内容について質問がされます。その人のこれまでの経歴を問うスタンダードな質問から、少し答えにくい考える必要がある質問まで、面接を行う企業によって質問のされ方のバリエーションは豊富です。では、企業は面接を受験した方のどのような点を評価するために、それらの質問をするのでしょうか。質問の傾向から、企業の採用を検討する際に重視しているポイントを洗い出してみましょう。

即戦力として獲得を検討したい場合にする質問

転職をする場合に期待されているのは、即戦力として入社後すぐに活躍してくれることです。それまでのキャリアで培った経験や実力、人脈を活用して業績をアップさせることを多くの企業は求めているので、面接でも採用してすぐに活躍できる人材か、職場の一員として仲間になった時にどのようなプラスを企業に与えてくれる存在か、というところを評価されます。短い面接の時間で能力や人柄を調べることが求められるので、単刀直入に質問されることもありますが、短い時間だからこそ少し考える質問を課して本音を探られるような質問のされ方をすることもあります。

まず、能力や経験から転職後にどのような活躍が出来るのか、というところを評価する質問がされます。一例としてはシンプルに「あなたの経歴を教えてください」という形で質問されることがあり、ここでは前職でのキャリアで取り組んできた業務やプロジェクトの内容について回答することになります。またはもっと直接的に「我が社にとってあなたを採用するメリットは何だと思いますか」「あなたはどのように我が社の業績に貢献することが出来ると思いますか」などの質問がされることもあります。

転職組はポテンシャルを見込んで採用することが少なく、これまでの経験をもとにリーダーシップを発揮し、企業の中心として活躍することが求められています。ここではチームの末端として業務やプロジェクトに参加した経験よりも、中心的な役割を果たした経験をアピールするほうが企業が獲得したがっている人材の像とはマッチしていると言えるでしょう。事実を答える必要のあるシンプルな質問のされ方ですが、採用メリットにつながりそうな実績をチョイスすることが理想的ですが、受験した企業に寄せた実績を紹介してしまうと嘘をついているのではないか、と疑われてしまう可能性もあります。自分の実績をアピールするにも控えめに立ち回ることも必要かもしれません。

仕事に関する価値観を評価したい時にする質問

転職組を獲得する目的が即戦力として、社やチームの中心となって活躍できる人材の獲得であることが多い以上、職場でどのように振舞う人物かという点は採用する企業にとって非常に気になるところです。周囲のモチベーションを高めつつ仕事が出来る人材であれば業績だけでなく社の雰囲気にも大きなプラスをもたらすことが期待できます。その反面、仕事に対するモチベーションが低かったり、誤魔化したりするようなキャラクターの方であれば職場の不和の原因になってしまいかねません。仕事に対する取り組み方を評価する質問も、転職時の面接では頻出であることを知っておきましょう。

仕事に対する取り組み方を知る上でよくされる質問は「なぜ我が社を転職先の候補に選んだのですか」「他にどのような企業の面接を受けてきましたか」などです。この質問では仕事へどのようなモチベーションで取り組んでいるのか、どんな仕事に魅力を感じているのかという点について問われています。「新卒で入社した会社では、どのような点を魅力に感じて入社したのですか」という質問も併せてされることがあり、新卒時と現在で仕事に対する価値観がどのように変化したかを探るためにこの質問をすることになります。

また、転職するにあたって前職を辞めることになるのですが、それについて質問されることでも仕事についての価値観を測ることが出来ます。「なぜ現在の仕事を辞めるのですか」という単刀直入な質問のされ方をすることもありますが、「前職の問題点を教えてください」という形で仕事をどのように選んでいる人物なのかを企業側は調べることになります。ネガティブな点をあげつらう、それらしい理由をあげて自分の退職を正当化するなどの回答をする場合、他の要因に理由や原因を求める他責傾向があると判断されかねません。全てを良いほうに捉えるのは無理がありますが、問題点と向き合った結果、ポジティブな心構えで転職を選んだ、という方が企業には喜ばれることでしょう。

仕事に取り組む上で求められるタフさや探求心を探る質問

外資系企業などでは特に、ヘッドハンティングされた人材は自分から新しい仕事に取り組んで、中心人物として活躍してくれることを期待しています。そのため面接では、仕事にモチベーションを保ったまま取り組み続けられるタフさ、新しい仕事を求めて進んでいける探求心があるかどうかも評価されることがあります。タフさは時々によって変化するビジネスシーンで戦い続けるために必要な素質ですし、主体性や探求心も持って仕事に取り組むスタンスは他の社員の模範にもなります。このように業績面だけでなく、後進育成の模範となるような人材も多くの企業は求めているのです。

タフさを測るためによくされる質問は「これまで仕事で一番大変だったことはどんなことでしたか」などの質問です。この質問ではどのような仕事上の問題を特に嫌だと感じるか、という性格的な問題を評価する一方、どのくらいまでの問題点であれば無理なく乗り越えられるのか、というタフさを測る質問であることも少なくありません。転職後は中心人物として活躍して欲しい企業にとって、すぐに投げ出さず粘り強く取り組む体力は高く評価されるポイントなのです。そんな辛い仕事の中でも、どのような点が自分にとってプラスになったか、という点も付け加えられるとモチベーション高く仕事に取り組めることをアピールできるでしょう。

仕事をこなすだけではなく、主体的に取り組む人物かどうかを判断する質問に「あなたにとって成長とは何ですか」という質問がされることがあります。よくこれまでの仕事でプラスになった事柄を問うと、成長できたことを良かった点にあげる方がいますが、具体的に成長が何なのかということについて意識している方はどれくらいでしょうか。この質問をすることによって、どの程度これまでの仕事を振り返って自分の血肉に出来ているか、仕事の中で得られた経験をどの程度ポジティブに捉えられているかを測ることが出来るのです。

実は雑談力も評価されている、何気ない質問たち

ビジネスシーンでは実は必要な雑談力、つまり商談以外でもクライアントと話す機会でしっかりとコミュニケーションを取れる能力についても面接で問われる可能性があります。それと同時に、どのような趣味がある人なのか、どのようなことに興味があるのかなどのパーソナルな部分を聞かれることになります。この質問で求められているのは話をしっかりまとめる力などのコミュニケーション能力であり、パンチの効いたエピソードを用意して面接に臨む必要はありません。よほど社会人としての品性を疑われるような返答でなければ、自然体な回答で構わないのです。

そんな雑談力を測る質問として特に頻出なのが「休日は何をしていますか」「リフレッシュはどのような方法で行っていますか」などです。ここではビジネス書を読んで勉強しています、知識を得ることがリフレッシュです、などといった真面目で評価が上がりそうな回答をしてしまうと、逆に高評価を狙っていると感じられてしまいかねません。あまりにも他に言うことが無い場合を除いて、休日はどのような形で遊んでいるかなどの回答をしたほうが無難であると言えるでしょう。もしレジャー好きなのであれば、職場以外での同僚との交流が期待でき、より良好な職場の雰囲気を作ってくれるのではないか、という期待もされているのです。

こういったエピソードを語る質問では、「休日は近所を散歩しています」という一文で終わらせるのは得策ではありません。散歩であっても、その休日の過ごし方にはどんな魅力があるのか、どのくらいの頻度でその過ごし方をするのか、などの情報を盛り込んで短く簡潔にまとめる力も見られているのです。ビジネスシーンでも頻繁にある初対面の人と雑談をして場を和ませる場面で、話題を投げっぱなしにせずに相手にその魅力を分かりやすく伝える技術があれば、単純な仕事をする能力以上にコミュニケーション能力によって業績にプラスを与える可能性がある人材と評価されるでしょう。

頻出の質問にはそれを出題する意図がある

転職の面接では頻出となる質問がある程度あり、それぞれに出題するだけの理由があります。企業の質問の意図を汲み取ることによって、あなたの魅力を先方に伝えやすくなるのではないでしょうか。きちんとあなたという人物について企業の採用担当者に評価して貰えるよう、転職の面接で出題されることがある質問については、その意図について今一度考えてみるなどの準備をしておくと良いかもしれません。

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