これだけは知っておきたい「転職」の基本20選

2.転職の目的は入社ではない?転職した後に活躍できる職場で働こう!

転職活動に必死になっているうちに、転職先から内定をもらうことが目的にすり替わってしまうことがあります。しかし「転職の成功」とは、転職先の企業から内定をもらうことではありません。転職後に、前の会社よりも活躍できること、キャリアップが目指せること、年収や待遇がアップすることが、本来の転職の成功のはずです。そこで、転職をした目的を忘れずに、転職を成功に導くための考え方を知っておきましょう。

目的の整理をしよう!

転職活動を始める前、または転職活動中に目的を見失ってしまったときに、「目的の整理」をしましょう。「今の会社以外ならどこでもいい」「現在の会社から逃れたい」というネガティブな目的で転職活動を始めた場合は、失敗する可能性が高くなります。「どこでもいい」と思って転職が成功するほど甘くはなく、流されていたら現在の職場よりももっと待遇が悪い、「ブラック企業」に転職してしまうことになるかもしれません。また現在の職場に問題を感じて転職した人が、転職後に同じ問題に突き当たるということがあります。

例えば「人間関係が悪い」という理由で転職をした人が、転職先でも人間関係に苦しむことはよくあります。人間関係が悪いのは、職場のせいとは限らず、転職希望者のスキルや性格の問題なのかもしれません。さらに言えば、職場の人間関係の問題は、どのような職場でも起こりうる問題のため、転職の理由にしないほうがいいでしょう。心が病むほど耐える必要はありませんが、コミュニケーション能力をアップして乗り越える方向にシフトすべきです。

たとえネガティブな感情をもとに転職を希望することになったとしても、現状を分析する必要があります。例えば「給料が低い」のは、会社の業績が悪いせいでしょうか。日本全体の景気が悪く、特に打撃を受けている業界や市場に所属している会社だからかもしれません。この場合は、同じ業界の企業に転職しても、高収入を期待するのは難しいでしょう。また現在の会社は、一日の労働時間が短く、残業や休日出勤もなく、有給もとりやすい社風なのかもしれません。そのため給料が安いといっても時給に換算すれば、他の労働時間が長い企業よりも恵まれている可能性があります。だとすれば、現在の会社に所属したまま、副業に力を入れて収入をアップしたほうが堅実な選択かもしれません。

現状を分析したうえで、それでも転職をしたほうが「給料が上がる」「活躍できる」「キャリアップできる」と思える場合に限り、転職をするようにしましょう。

目的に優先順位をつけよう!

なぜ転職したいのかを考えて整理していくと、いくつかの転職の目的が見えてくるはずです。「給料を上げたい」「活躍したい」「キャリアアップしたい」「安定した雇用がほしい」「福利厚生を充実させたい」などの目的です。次にこの目的の中で、何を最優先するか決めておきます。「活躍できる職場」と「給料が上がる職場」など、転職の目的の中身が矛盾することもあるからです。例えば、現在大企業で働いているAさんが転職をするとき、自分のスキルを活かして、現在よりも活躍できそうな転職先は、ベンチャー企業かもしれません。この場合、高い給料と安定した雇用、福利厚生の充実というメリットを失いますが、活躍できる職場を手に入れられるでしょう。一方で、現在の職場のライバル企業にあたる、大手企業に転職した場合は、現在よりも給料が上がり、安定した雇用も見込めます。ただし与えられる裁量は小さく、現在の職場よりも昇進しにくくなるかもしれません。あなたがAさんだとしたら、どちらの企業に転職するでしょうか。転職の目的は同じでも、最優先する目的には大きな違いが出るものです。

Aさんの立場で転職先を考えると、「活躍できる職場」を選ぶ人、「安定した雇用」を選ぶ人など、最優先する転職の目的が違ってくるはずです。このように転職をするときは、転職の目的を思い浮かべて、さらに優先順位をつけましょう。このようにして最優先した転職の目的が叶ったとき、その転職は成功したと言えます。この段階で決めた目的を見失わないように手帳や転職用のノートなどに書き出しておきましょう。転職の目的を見失ったときに、きっと役に立つはずです。

実際に転職活動を始めると、たくさんの求人を目にすることになります。はじめは「活躍できる職場」を探していた転職希望者も、希望通りの職場がなかなかみつからないと、疲れたり焦れてきたりします。そんな時に、現在の給料よりも1.2倍くらい待遇がいい職場からの求人を見つけた場合、「ここでいいか、給料も上がるし」などと思って転職を決めてしまうことがあります。ほんの少し給料は上がったものの、仕事内容に魅力を感じず、さらに裁量も小さいためやりがいを感じずに、「前の職場のほうが、まだ活躍する場面があった」と嘆くことになるかもしれません。そうならないために当初の目的を見返して、転職の目的を見失わずに転職活動を進めましょう。

目的を達成できる職場を探そう!

続いて給料を高くしたい、活躍できる職場で働きたいといった、転職の目的を達成できる転職先を探しましょう。まず「給料を上げる」という目的で転職をするなら、「業績が好調な会社に転職をする」という方法があります。同じ業界にある、業績が好調な会社に転職すれば、現在の会社で養ったスキルやコミュニケーション能力を生かせるため、転職活動がしやすいかもしれません。また業界の知識があるため、転職先候補になる企業の具体的な名前も浮かんでくるでしょう。

また「世の中のお金が集まっている、景気のいい業界の会社や職種に転職する」という方法もあります。異業種や異職種を狙って転職をするときは、ある程度の知識とスキルが必要になるでしょう。現在の職場にとどまり、スキルを磨いて数年後に転職に挑戦するという選択肢も出てくるでしょう。また現在の仕事で養ったスキルや能力を、新しい異業種の職場で生かせる武器になるかどうか検討することも大切かもしれません。若くて優秀だと自負があるのに会社から評価されず、給料を低く抑えられている人は、外資系企業のような「明快な評価制度がある会社」に転職すると、給料が上がるかもしれません。仕事の結果で評価が決まる制度がある会社なら、転職先で結果を出すことで、今よりも高い給料を手にすることができるでしょう。

次に「活躍できる職場」で働くためには、どのような転職先を選ぶべきでしょうか。大切なことは「企業の需要と、転職希望者の供給がマッチしていること」です。企業が本当に求めている人材が応募して転職が決まった時、転職者が転職先企業で活躍できる可能性が高くなります。なぜなら企業は転職者を募集する時、どのような仕事、どのような役割を担ってもらうか、事前に決めているためです。「とにかく優秀な人材を募集して、採用してから仕事を探そう」とは思っていません。例えばあるIT企業が「コミュニケーション能力が高い経験豊富な人に、プロジェクトリーダーを任せたい」という目的で募集を出したとします。この時に「システムエンジニアとして高いスキルを持っているが、コミュニケーション能力が低い人」が応募して、仮に採用されたとしても、転職後の活躍は難しいということになります。この人が優秀でないわけではなく、企業の需要に合わないため、活躍できないというわけです。

企業の需要にマッチしなければ活躍できないという傾向は、転職者の年齢が高くなるほど顕著になります。20代までの転職希望者に対しては、将来性を期待した応募をかけることがありますが、30代以上の転職者に対しては、企業は即戦力として期待をかけているためです。任せたいプロジェクト、役職があるから募集をかけているため、その目的に沿わない優秀な人材が来た場合は困るのです。この「企業の需要にマッチする人材が活躍できる」という法則は、そのほかの目的で転職しようとしている人にとっても重要なルールになります。「給料を上げる目的」「安定した雇用」を目指した転職でも、企業の需要にマッチしていることが転職を成功させるポイントになります。需要にマッチせず、まるで活躍できなければ、好待遇を与えられていても居心地が悪くなります。不幸なミスマッチを防ぐためには、事前に情報をしっかりと収集することが大切です。そのために転職サイトや転職エージェントに登録するのも選択肢のひとつになります。様々な手を尽くし、情報を入手しましょう。そのうえで、求人を出した企業が求めている人物像を把握して、その人物像に自分が当てはまるかどうか、冷静な目で判断してみましょう。企業の求めている人材でないと判断したら、次のチャンスを狙いましょう。

当初の目的を忘れずに転職を成功させよう!

転職の目的は「転職先の企業に就職すること」ではありません。「給料を上げたい」「活躍できる職場で働きたい」「キャリアアップしたい」「安定した雇用を手に入れたい」といった目的をかなえることです。そのために、転職の目的に優先順位をつけて、「最優先する目的をかなえる」まで、粘り強く活動を続けましょう。自分の能力やスキル、経験を求めている企業を探すことが、目的達成のためのカギになるでしょう。

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