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転職ノウハウ

by飯田賢平 飯田賢平

PR会社から事業会社広報の転職における年収の違いと絶対必要なスキルとは?

PR会社から事業会社の広報職への転職が、必ずしもキャリアアップにつながるとは限りません。

この記事では、同ケースの年収の変化についてと、PR職の方がキャリアアップする際に必要なスキルについて見てみましょう。

この記事の解説者:株式会社ホールハート 取締役COO 飯田賢平

飯田賢平バストアップ写真

【プロフィール】

飯田賢平 取締役COO/Exective consultant

理系の大学卒業後、電機メーカーから宣伝会議グループに営業職として転職。2008年に代表の小野とホールハート創業。広告・PR・ベンチャーなど幅広く企業の採用に携わる。特にベンチャー・スタートアップとの経営陣とのネットワークを持つ。キャリアに関する「アニキ」のような存在になり、転職後も飲みに行くような関係になること多数。1982年生まれ。

PR会社から事業会社広報の転職は年収ダウンの可能性大

通常、同業界内で転職をした際の年収は、前職の年収よりも高くなります。そのためPR会社から事業会社広報へ転職も、当然ながら年収は上がるものだと思われるかもしれません。

転職先が大手の事業会社であればなおさら期待は高まります。しかし実はPR会社から事業会社広報への転職ケースに限っては、年収が下がることが多く、前職との差額は50万円以上になることもあります。

ではそれはなぜでしょうか。   PR会社は他業界と比べると、平均的に年収は高い方だと言われています。

しかし大手の事業会社(ナショナルクライアント)は、それぞれの会社で給与制度が整っていて、年収はその制度に沿って決められます。

したがって、たとえ前職の年収が高くても考慮はしてもらえません。もともと年収が高いPR会社からの転職の場合は、結果的に年収が下がってしまうことがよくあります。

しかし、外資系事業会社の場合は別です。転職をして年収が上がることもあるのですが、こちらの記事でお話ししている通り、外資系事業会社の広報は本国のレギュレーションに従うため、広報業務よりも調整役に徹することが多くなります。

したがって、年収は上がるものの、広報のプロフェッショナルとしてのスキルアップはあまり期待できません。

年収を上げるだけの転職で本当に良いのかどうか、転職の本来の目的を今一度見直すことが大切です。

■まとめ:PR会社から事業会社への転職における年収の変化
  • 内資系事業会社への転職は、50万円以上の年収ダウンの可能性大。
  • 外資系事業会社は年収に期待ができるがスキルアップは見込めない。

事業会社への転職に欠かせないスキルは?​​​​​​​

年齢を重ねている人ほど、体力的な厳しさなどを理由に事業会社への転職を希望するケースが増えます。しかし、年齢を重ねている方は、その分現在の年収も高いはずです。

別の会社で同年収を得るには、当然高いスキルを求められます。コアスキル(圧倒的な強み)を持っていないと事業会社広報への転職は難しいでしょう。  

では事業会社の広報に最もマッチするのはどのような人材なのでしょうか。 一番理想的なのは、現職で事業会社広報のプロフェッショナルとしての経験を積んでいるケース

しかし、受託側のPR職のみの経験者でもチャンスを掴める人はいます。

年齢が20~30代前半でPR業界の経験が5~6年あり、さらに企業に対するコンサルティングと、メディアのプロモートの両方の経験を積んでいる方です。

事業会社はメディアとの強いネットワークを必要としています。広報を採用するということは、メディアとのネットワーク形成にも大きな期待がかかります。

そのため、コンサル経験に加え、メディアプロモート経験がある方は重宝されるでしょう。それから、語学力もあると有利です。

今はどの企業もグローバル志向。ビジネスレベルの英語力があるとベストですが、若ければ、スキル次第では、プライベートで勉強しているくらいの型でも歓迎されます。

ただし30代後半ぐらいになると、コアスキルが必須、さらにマネージメント経験も求められます。

たとえば、38歳でマネージメント経験がある、さらにメディアとのリレーションも深く、確実に独占できるメディアがあるなどの強みを持っている場合は、優遇されるでしょう。  

ただし、マネージメントスキルに関しては、大手事業会社(ナショナルクライアント)は少し違います。

マネージャーポジションはプロパーの社員で固められていることが多いため、中途採用者にマネージメントスキルは求められません。求められているのは現場で動ける優秀なプレイヤーです。

すると、現在マネージメントを行っている方の場合、すでに現場を2~3年以上離れているケースが多いので、即戦力を求める大手の事業会社とはミスマッチなのです。

■まとめ:事業会社広報に適した人材について

  • 事業会社広報職にベストな人材は、20~30代前半でPR職の経験が5~6年
  • 企業コンサルティングとメディアプロモートの両面ができる人
  • 30代後半の場合は、コアスキルとマネージメント経験、語学力があると望ましい

大手事業会社の広報とベンチャー企業の広報、キャリアの違いは?

大手事業会社の広報とベンチャーの広報、キャリアの違いは?

事業会社広報へ転職をした場合、転職先の会社が大手事業会社とベンチャー系事業会社かで、2~3年後のキャリアに違いが出てきます。

ベンチャー企業であれば、部門立ち上げなど新しいことに取り組めるため、できることの幅が広がります。しかし、大手事業会社の場合は、職位が止まる可能性が高まります。

その理由は、大手事業会社にはプロパー社員が多く、管理職を含む社員同士の人間関係が出来上がっているため、中途採用者はコミュニティの範囲が限られてしまうからです。

実際、私がお会いした求職者の方の中にも「一度大手事業会社に転職したものの、スキルはあるのに職位が上がらない」ことを理由に、再び転職を余儀なくされた方がいらっしゃいました。

ただし大手事業会社にはメリットもあります。「ワークライフバランスが整えられる」という点です。

大手事業会社は比較的プライベートを大切にしたい、長時間労働をなるべく避けたい、という点を優先したい方にはマッチしている環境と言えるでしょう。  

■まとめ:大手事業会社とベンチャー企業の違い

  • 大手事業会社は、入社~3年で職位が止まる可能性あり。
  • ベンチャー企業は、部門立ち上げなど、キャリアの幅が広がる。

大手事業会社の広報に転職することだけがゴールではない

大手事業会社の広報に転職することだけがゴールではない

実際、PR業界で働く方が転職の相談にいらっしゃる際、ほとんどの方が事業会社広報を希望されます。中には「どの企業でも良いからとにかく大手事業会社に行きたい」とおっしゃる方もいます。

しかし、これまで述べてきたように、この考え方は極めて危険です。もちろん、ご自身の強い想いがあって大手事業会社を選択するのであれば問題ないでしょう。

しかし、もし「大手事業会社=キャリアアップする」という勘違いをしたまま転職をすると、結果的にまた転職を繰り返すことになりかねません。  

私はこれまでPR業界出身の求職者の方にたくさんお会いしてきました。その経験から言えるのは、大手事業会社に行くことがだけがゴールではないということです。

たとえば、PR会社から別のPR会社に転職するのも良いですし、今の会社にとどまるのも良いでしょう。独立もひとつの手です。

また、ベンチャー企業の広報で挑戦してみるのもおすすめです。広報にこだわらず、マーケティング全般や販促、プロモ―ションを担当する、WEBメディア系の企業で働くという選択肢もあります。

キャリアアップを目指すのであれば、「守りに入る」のではなく、「攻める姿勢」を持ってください。

たとえばベンチャー企業の広報であれば予算も限られているし、自分で積極的に仕事をつくることになります。

大手の看板の力を借りて広報を行うのと、看板のない無名の会社の広報を自力で行うのとでは、同じ広報でもそのスキルには大きな差がつきます。

ベンチャー企業では広報以外の業務も兼務する可能性が高いですし、幅広く手掛けることができるのでキャリアの幅は確実に広がります。

その中で、自分で徹底的に考えてアウトプットすることが大きな実績になります。こうした経験を20代のうちにしておくと、間違いなく力がつきますし、後の転職にも有利になるでしょう。

■まとめ:キャリアアップの選択肢

  • 「どこでもいいから事業会社に行きたい」は危険。
  • 大手事業会社以外でもキャリアアップの道はある。
  • キャリアアップは「守り」より「攻め」の姿勢が良い。

いかがでしたでしょうか。受託側のPR会社から事業会社への転職について解説いたしました。

大切なのは、ご自身が転職に求めていることと事業会社に転職をした後に得られるもの照らし合わせてみることです。

スキル、年収、ワークライフバランス…あなたにとって最もプライオリティが高いのは何ですか?プロの転職にも、こうしたお悩みを抱えている方がたくさんいらっしゃいます。

もしご自身だけでは答えが出てこない場合は、身近な方やキャリアコンサルタントにぜひ相談してみてください。 

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飯田賢平

飯田賢平

この記事を監修した人 飯田賢平 取締役COO/Exective consultant

理系の大学卒業後、電機メーカーから宣伝会議グループに営業職として転職。2008年に代表の小野とホールハート創業。広告・PR・ベンチャーなど幅広く企業の採用に携わる。特にベンチャー・スタートアップとの経営陣とのネットワークを持つ。キャリアに関する「アニキ」のような存在になり、転職後も飲みに行くような関係になること多数。1982年生まれ。

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