株式会社オープンエイト
AI×動画で心を動かす体験を!
ライフスタイルに革新を起こす3事業

株式会社オープンエイトは、【AI×動画】をキーワードにしたテックカンパニーです。「おでかけ動画マガジン ルトロン」が有名ですが、「動画はあくまでも手段に過ぎない」と言い切り、独自のテクノロジーを軸に自社サービスを展開する急成長企業です。

2018年9月に総額15億円の資金調達も発表(累積調達額約40億円)し、マーケティングテクノロジー業界での存在感を増していく同社について、執行役員兼CBOの加嶋雄一(かしま・ゆういち)氏にキャリアコンサルタントの伊藤がお話を伺いました。

オープンエイトの事業内容、ビジネスモデル

伊藤 まず御社の事業内容やビジネスモデルをお伺いさせてください。

加嶋 オープンエイトは現在4期目で、「マーケティング」、「メディア」、「SaaS」の3つの事業を行っています。

マーケティング事業は180以上のプレミアムな配信枠と30億インプレッションを保有している「OPENn8 AD Platform」という動画広告ネットワークを行っていて、これまでにのべ1000ブランド以上の実績があります。

メディア事業は、「おでかけ動画マガジン ルトロン」を運営しています。おでかけに関連した動画をこれまで約10000本作ってきて、約800万人のユーザーがいるメディアに成長しました。

SaaS事業は「VIDEO BRAIN」という名称のサービスを2018年9月にソフトローンチしました。一言でいうとAIを掛け合わせた自動動画制作ツールで、今まで培ってきたメディア事業をベースに、動画編集をもっと簡単にできる環境を外部向けに提供しています。もともとAIを活用した動画自動編集システムを開発しており、編集のローコストオペレーションを追求してきているので、これを外部向けに提供したら興味を持っていただけるのではないか、ということで始めました。

●オープンエイト社の3事業まとめ

マーケティング事業 30億impのアドネットワークサービス「OPEN8 AD Platform」
メディア事業 800万UUの動画メディア「おでかけ動画マガジン ルトロン」
SaaS事業 AIを掛け合わせた自動動画制作ツール「VIDEO BRAIN」

伊藤 今後の展開イメージは決まっていますか?

加嶋 SaaS事業はJ字を描いて売上げを作っていくビジネスモデルです。まだローンチしたばかりなので、これから1年2年かけて売上げの幅を大きくしていこうと考えています。

いま弊社はルトロンのイメージが強いので「動画の会社」というイメージが強いですが、実は エンジニアが社員の40%を占めているテクノロジー企業で、ライフスタイルに革新を起こすということをビジョンにしています。大切にしているのは弊社のコアテクノロジーで動画はあくまでも手段なので、もしかしたら長期的にみると動画とは全く違う事業をローンチしているかもしれません。

「心を動かす」ことをミッションにしているので、クライアント様が弊社のサービスをご利用いただいて、「 いかにお客様の心を動かして実際にアクションに繋がるのかどうか」が最も大事だと考えていますね。

伊藤 特に外部の広告営業の方からすると、他のバーティカルメディアと比べて見る方が多いですが、そういったメディア企業様との違いは何だと思っていらっしゃいますか?

加嶋 まず、メディア事業だけをやっていないところが大きい違いですね。メディア事業のみをやっている会社は、メディアの広告売上を中心に収益基盤を作りますが、私たちの場合は制作環境の提供(VIDEO BRAIN)と配信の強化(Open8 AD Platform)も合わせてクライアント様に提案することができます。特に「VIDEO BRAIN」の事業は一線を画しています。いかにユーザー様やクライアント様のコストを落とせるかをビジネスとして構築していくかという考えは、弊社だけなのではないかと思います。

伊藤 VIDEO BRAINが市場のニーズ感とマッチしているのは傍から見ていてもわかりますが、実際、社内で感じるニーズ感や今後のグロースのために考えていることはありますか?

加嶋 動画広告市場が2000億円近い規模に伸びてきている中でVIDEO BRAINがプロダクトとして評価されているポイントは、大量に動画を作らなければいけない方に、制作過程にかかる「時間」「コスト」「リソース」を圧縮することを提供できていることですかね。例えば運用型広告なら、1つの素材や訴求から大量の動画パターンを制作する必要がありますね。通常外注すると1本数万円から数十万円かかる動画編集費用を遥かに安いコストでアウトプットできるのがポイントです。お陰様で、2018年11月のアドテック東京を皮切りにPR活動を強化してきましたが、約3か月で現在1000件以上のリードがあります。

伊藤 嬉しい悲鳴ですね。VIDEO BRAIN領域のリードは、御社ではインサイドセールスがアクションをかけていっていると伺いました。

加嶋 本当に1つずつ丁寧に対応させて頂いているというのが現状です。インサイドセールスからクライアント様にコンタクトさせていただいて、カスタマーサクセスがサービスのご案内からお申込みいただいたのちまで伴走していきます。今後はチャットなど実際に対面しなくても伴走できる機能を搭載して、お客様の声をいかに迅速に拾えるかにチャレンジしていきます。

伊藤 カスタマーサクセスを今急募されているのは、現状約1000件のリードが実際に稼働していくと足りなくなる状況を見込んでのことでしょうか?

加嶋 はい、現状のままだと全く足りなくなってしまいますね。カスタマーサクセスは特異な職種で、伴走しながらお客様からどういった機能が良い悪いと細かい部分まで全部ヒアリングして、それを開発に渡してさらに回していくポジションなのでSaaS業界では重要なポジションですね。

伊藤 ローンチしたばかりで、修正点や課題などが結構上がって来ているような状況ですか?

加嶋 VIDEO BRAINはSaaSの中でもユニークなプロダクトです。なぜなら動画を使うのは1職種だけではなくて、マーケターもHRも広報も使うからです。ニーズの幅が広いので、今はその中でいかにプロダクトがフィットするところを探すかにチャレンジしています。他のSaaS系の会社さんでも、やはり最初は「いかに沢山使ってくれるお客様を探すか」が命題になります。まず毎月30本とか40本使っていただける企業さんを数十社見つけて、そこから弊社なりのプロダクトマーケットフィットを探していこうとしています。

伊藤 実際のユーザーは、具体的にどんなことで使用されていますか?

加嶋 現状バラバラですが、例えば「商業施設のサイネージ内やECサイトで自社のブランドや商品を簡単に紹介したい」や「InstagramなどのSNSコンテンツとして活用したい」といった使用シーンです。いま1つひとつ弊社の中での仮説や実証値が上がってきているところで、例えば動画アリのコンテンツとナシのコンテンツを試験的にFacebookとTwitterで配信したことがあります。結果はやはりVIDEO BRAINで作った動画アリの方がリーチもエンゲージメントも大きくなるという傾向が出ていますね。弊社ならアドネットワークを保有しているので、参画して頂いているメディア様にそういった数値感を共有しながら導入していただけるのかなと思っています。

伊藤 他社サービスと比較した際の強みはやはりAIですか?

加嶋 仰る通りです。簡易動画制作系のツールで多いのは「このフォーマットに素材を入れて頂ければ動画ができます」というツールですよね。VIDEO BRAINのAIがどこで稼動しているかというと、大きく言うと2つあります。

1つめは、商品説明資料の説明テキストを流し込んでいただければ、独自の売りやその商品の推しどころを 要約して構成を提案してくれるところです。

2つめはその要約したテキストに対して入れた画像をマッチングさせるところですね。 ここが今大きな強みですが、今年の春にさらに AIの音声認識機能を追加しようと思っています。手間がかかるインタビューの文字起こしも簡単にできますよ。

伊藤 弊社で導入したら編集部が泣いて喜びそうです。

加嶋 弊社にもたくさん編集者がいますが、「文字起こしの精度は100%である必要はありません。ちゃんと文節が分かれていて句読点が振ってあるだけでも全然工数が違います」という話をしていて、弊社はそこを意識して今開発中です。完成すればそういった仕事をしている方もだいぶ楽になるのではないかと思います。

加嶋氏がオープンエイト入社を決めた理由

伊藤 加嶋さんはご入社されて丁度1年ですが、GREEさん、LINEさんと来て現職にご入社を決めた理由は何でしょうか?

加嶋 大きく言うと3つです。1つめは、私が今までやってきたC向けに特化したマーケティングやプロモーションで、すぐに実績を出せるのではないかと思ったのは大きいですね。

2つめは、自分が中心になって活躍してベンチャー企業をIPOまで持っていくという経験をしてみたいと思ったからです。前職でも経験していますが、規模感的に数千人レベルだったので、数十人とか百人位の規模感で、自分が経営陣としてチャレンジしてみたいと思いました。

3つめは、弊社代表の高松と価値観が合ったというのが大きかったです。ベンチャーの経営者でマーケティング業界の経験者はあまりいないんですよね。私もずっとC向けのマーケティングをやってきていて、BとCの違いはあってもマーケティングをやってきている人間同士という共通点ですね。

もちろん事業は数字が大事ですし数字が前提にないとダメですが、今まで世の中に出てきたサービスが全部数字で計算してフィットしたかというとそうではないと思います。実現したい世界観とか、ニーズをいかに汲み取るかとか、プロダクトアウト寄りのサービスが大成していると思うので、そういったときに価値観が合っていないと数値以外の話が出来ないと思ったからですね。

伊藤 入ってみて実際はどうですか?

加嶋 初めは、ルトロンのグロースハック担当として入社したのですが、入社1か月で100万ダウンロードまで持っていくことができました。そこでやれるという確信をある程度得てからアドネットワークの広告営業と広告商品の企画をやらせてもらったので、既存事業をいかに拡大していくか、そこに今まで経験してきたエッセンスをいかに入れられるかにフォーカスできましたね。

採用活動で大切にしている3つのポイント

伊藤 現在積極的に採用活動をされていますが、最近入社された方は、どのようなポイントが入社の決め手になっていますか?御社の内定を取れる方は、複数企業から内定が出るタイプの方が多い印象があります。他社様と競合すると思うのですが。

加嶋 最近は広告営業と広告商品企画メンバーのジョインが多いのですが、専業の広告代理店で1つの領域の広告営業をやってきて、もっと自分のマーケティング知識や領域を広げたい、今後動画の広告市場が伸びていくのでそういった知見が欲しい、というマッチングが結構多いですね。

伊藤 ルトロンはブランディング領域もありますし、アドネットワークならCPA(Cost Per Acquisition、「広告コスト(成果単価)」の意)を追いかけるようなものもありますよね。動画の広告という意味では他社と競合してしまう事もあるかと思いますが、そういった際は御社の魅力をどのように伝えていますか?

加嶋 アドネットワーク事業でいうと、まずアットコスメさんやウーマンエキサイトさんなどをプレミアムメディアとして持っているということですね。弊社しか流せない枠なので、これは結構な武器だと思っています。

あとは配信面が綺麗だということもアピールポイントです。単純に獲得だけを追うよりもブランドセーフティを求めたい、広告を綺麗に出したいクライアント様が増えています。

そこにマッチした商品を提供できていたり、プレミアムメディアを持っていたりするので、色々な広告主側のプラットフォーム企業様(DSP)からの引き合いが多いですし、SSP(WEB広告枠を提供している媒体の広告枠販売や広告収益最大化などを支援するツール)として接続してくれないかという依頼も多くなっていて今後この事業も拡大していこうと思っているので、事業展開の可能性も魅力だと思います。

伊藤 クライアント的な仕事も多くなってくるということですね。

加嶋 はい。また、メディア事業でいうと、自分で言ってしまいますが、 動画のクオリティが高いです。フォーマットを多数作ってきたので、1コンテンツあたり非常に安価で制作できているのですが、コスト感的に相当安いだけでなく、ユーザビリティが高く完全視聴率の高いフォーマットを分析してきたので、 費用対効果の高いクオリティの動画を提供できていると思っています。

弊社は制作力に自信があるので、その制作力を買っていただくクライアント様も増えてきています。ただ単にルトロンで配信するというよりは、ルトロンの世界観や動画のクオリティを見て、「同じようなPR動画を作りたい」とご相談をいただくことも多いですね。

伊藤 カルチャーフィットなど採用の際に重要視しているポイントや、入社に繋がっている人柄の傾向などはありますか?

加嶋 オープンエイトが社員に求めている行動指針と親和性があるかということに加えて、大事にしていることが3つあります。

1つめは、仕事に対してどういう欲を持って取り組んでいるか。これが明確であればあるほど、その人が目標に向かってまっすぐ進める人だと思います。例えば「マネージャーになりたい」とか「メディアの編集をやりたい」という方がいますが、それはあくまでポジションや職種の話で、そうなることで何を実現したいのかが大事だと思っています。「社会貢献をしたい」とか、「自分が作ったものでユーザーを笑顔にしたい」とか、そういう具体的な欲です。欲が分かると、コミュニケーションがとりやすいですね。

2つめは、今までのキャリアを分析出来ているかです。今までのキャリアを振り返ったときにどう評価しているのか。皆さん人生設計があると思いますが、目標に対して現状が何点かという理解がしっかり出来ているかどうかですね。その点数は低くても構いません。「今90点だけどこの会社に入って120点まで引き上げたいです」という分析が出来ているかどうかです。

3つめは、思いやりがあるかどうかです。やはり仕事は一人でやるものではないので、組織として成果を出すのに自分のやりたいことだけをやっていても連携できません。一緒に組むパートナーや他の職種の方が何に優先順位を置いているかなどを客観的に見られるかどうかですね。

オープンエイトのO8value(行動指針)
Keep moving まず動く・動き続ける
Break the border 小さくまとまるな
Play for team 全員で会社を育てる

伊藤 今後、中長期的にはどのような方を求めていく予定ですか?

加嶋 会社の核になってくる人材というか、ミドルマネジメントの人材が必要だなと思っています。

伊藤 それはゼロイチのフェーズが終わってきて、1から10に飛躍していく時期に入られたという理解で良いですか?

加嶋 現在3つの事業があって内1つは新規事業ですが、これが事業として成立していったときに、それに対してさらに成長にドライブをかけられて、組織マネジメントも事業マネジメントも出来る、そういう人材を探していますね。 

伊藤 加嶋さん、貴重なお話ありがとうございました!

・お出かけ動画マガジン「ルトロン」

<加嶋 雄一(かしま・ゆういち)氏プロフィール>
2008年横浜国立大学経営学部卒業後、広告代理業、メディア事業に従事。2013年にグリーに入社し、GREE PFサードパーティー向けのプロモーションを担当。2014年にLINEに入社し、LINE GAME事業のマーケティング責任者として、事業拡大とユーザーグロースに貢献。2018年2月オープンエイトに入社。サービスのグロース、マーケティング領域全般の責任者を務める。2018年10月、株式会社Finatext 戦略アドバイザーに就任。
オープンエイトコーポレートサイトより